多摩川中下流(東京都、神奈川県)の河川敷でほかの植物にからみつくなど侵略性が高い外来種の雑草「アレチウリ」が繁殖地域を急速に広げている。東京都府中市の河川敷ではアレチウリの増殖でツバメの巣に使われるヨシ原が倒れ、数万羽のツバメがねぐらを失うなど影響も出ている。国土交通省でも駆除対策を検討し始めた。【伊藤直孝】
府中市四谷の多摩川河川敷では05年7月の台風の際、約150メートルにわたるヨシの草原が倒れ、からみついていたアレチウリの重さで起き上がれなくなった。そのためヨシの葉をねぐらにしていた2万羽以上のツバメが生息できなくなり、別の場所に移動した。市民団体「府中野鳥クラブ」によると、「昨夏は50羽程度しか確認できなかった」という。同団体は5月から有志で抜き取り作業を進めている。
世田谷区鎌田の多摩川二子橋公園付近の河川敷でも5年前ほど前からアレチウリが増殖。やはりヨシ原を倒す被害が目立ち、1000羽以上のツバメがねぐらを失ったという。財団法人「世田谷トラストまちづくり」が駆除に取り組んでいる。
国交省京浜河川事務所(横浜市)が今年3月、多摩川流域を対象にまとめた初の調査では、中下流約63キロの流域でアレチウリの繁殖面積が約53ヘクタールに及んだ。下流の世田谷区や川崎市の一部では、アレチウリが75%以上分布する地点が調査地点の半数近くに上った。「多摩川河川敷での増殖はここ数年だが、原因は不明」(同事務所)という。
府中野鳥クラブの大室清会長は「ツバメが多摩川から姿を消して寂しい。自分たちの力では目に見える範囲の駆除しかできないので、官民共同で対策を進めてほしい」と訴える。同事務所では「まだ分布状況を調べる段階で暗中模索の状態。市民団体と連携して、具体的な駆除対策に入りたい」と話している。
◇アレチウリ 北米原産で、他の植物に絡みつき数メートルに成長する。果実や茎にある鋭いトゲなどから繁殖が在来種に与える影響が大きいといわれ、環境省は06年2月、法律で栽培や輸入を規制する特定外来生物に指定した。青森県以南の荒地や河原で広く分布し、長野県などでは官民共同の抜き取り対策が進められている。