美浜、若狭両町に広がるラムサール条約登録湿地の三方五湖周辺で、在来魚種の個体数を回復させようと、産卵場になる水田と湖につながる水路に魚道を設けた県の試みが効果を上げている。
同地の水田はかつて三方五湖などに住む在来の水生生物にとって格好の産卵場になっていた。しかし、近年ではほ場整備事業によるかさ上げの影響で、水田と水路との間に高低差が生じ、魚の遡上(そじょう)が困難になってきている。
設置した魚道は、土木工事用の部品を転用。途中に木の板で何重にも設けた堰(せき)で水を受け、徐々に高低差を少なくする仕組み。五湖の一つ、三方湖周辺の水田に今年も新たに4カ所設け、県海浜自然センターの職員が毎日、遡上の状況を確認している。
取り組みを始めた昨年は魚道(4カ所)でドジョウ、タモロコなどを確認。多い日には100匹以上の遡上があるなど、水が流れてさえいれば十分機能していることが分かった。一方、産卵・繁殖にどの程度結びつくかのデータは十分に集まらず、今後の課題となっている。
同様に魚道を水田に設置する事業を行っている滋賀県の琵琶湖では、魚が入り込んだ水田の土壌は酸化した層が厚く、温室効果が二酸化炭素の20倍のメタンが発生しにくいことを確かめた研究もある。研究では、魚が泳ぐ水田ではリンの固定が進み、下流の富栄養化も食い止められるとも指摘。幅広く環境保全に貢献する魚道は、一度設置すれば手間もかからず、関係者から取り組みの広がりが期待されている。【高橋隆輔】 5月25日朝刊