フェニックスなどヤシ科の植物を食い荒らす熱帯性のヤシオオオサゾウムシが福岡、長崎、宮崎など九州各地で広範囲に繁殖していることが、長崎西高校(長崎市)生物部の研究で分かった。同部は九州大学の協力を得てDNA解析し、福岡、宮崎、長崎各県の個体が同一系統であることを確認。今後、本来の生息域である台湾やベトナムなど海外の個体も調べ、日本への侵入経路を明らかにしたいと意欲を燃やしている。
同部の生徒が校庭で、見慣れない体長約4センチの大型のゾウムシを発見したのは2002年6月。調べたところ、福岡や鹿児島各県でフェニックスの木に被害をもたらしている外来種のヤシオオオサゾウムシと判明し、枯れた被害木を探す調査を始めた。
生徒たちは06年までに長崎、熊本、福岡、佐賀の4県計103地点で200本の被害木を発見。長崎県をはじめ宮崎、福岡、岡山各県の計13地点で採集された14個体を九州大の紙谷聡志助教授の協力を得てDNA解析した結果、すべて同一系統であることを突き止めた。
さらに、ヤシオオオサゾウムシの体に糸をくくり付け、棒の周りを何回飛ぶかを計測したところ、約1時間40分に約12キロもの飛行能力があることも確認。また約1カ月間に500個以上の卵を産み、熱帯原産にもかかわらず気温零度下で2週間生存できる生態も観察した。
国内のフェニックスは宮崎県から苗木を移植した例が多いため、生徒たちを指導している同部顧問の田中清教諭は「ヤシオオオサゾウムシの卵が産み付けられたフェニックスの苗木が宮崎県に輸入され、被害が各地に広がった可能性が高い」と推測。「繁殖力の高さからみて、今後一気に被害が拡大する恐れもある。侵入経路を明らかにし、被害を抑える方法を探りたい」と、生徒たちのさらなる活躍に期待を寄せている。
=2007/02/26付 西日本新聞朝刊=
Posted by jun at 2007年02月27日 11:27 in 自然環境関連