琵琶湖の水質改善のために、し尿などの生活排水を処理する小規模型の排水処理施設「浄化槽」の活用を考えようと、「浄化槽が琵琶湖を救う」講演会(おおつ環境フォーラム主催)が10日、大津市浜大津の明日都浜大津で開かれた。
浄化槽の技術開発や制度作りに長年携わってきた、豊橋技術科学大の北尾高嶺・名誉教授は、95年の阪神大震災で下水道処理場が壊滅的になり、汚水を沈殿槽にためて消毒するだけで河川に流していた事例を紹介。「もし県内で大規模な地震が起き、下水道施設に同様の被害が出ると、琵琶湖はドブ沼化し、生態系が回復不可能になる恐れがある」と話した。
続いて、龍谷大環境ソリューション工学科の竺文彦教授は、「もしも合併浄化槽で整備を進めていたら」をテーマに講演。琵琶湖に流入する排水のうち、農業排水や道路排水への対策が不十分で、「琵琶湖の汚濁が止まらない」と話した。
県内の下水道普及率は約8割まで進んだが、残る2割は山間部などの周辺地域で、下水道の建設にはばく大な経費が必要になる。竺教授は「01年度までの公共下水道事業費と02年度までの流域下水道事業費の累計約1兆8800億円を使えば、約257万人分の浄化槽が建設できる」と指摘。「家庭排水処理の重点を浄化槽に置き、予算を道路排水などの対策に当ててはどうか」と提案した。
会場からは「浄化槽の維持費は下水道と比べて高くないか」「下水道が既に完備されている場合はどうすればいいか」など質問が相次ぎ、参加した市民ら約55人は熱心にメモを取りながら耳を傾けていた。【近藤希実】 2月11日朝刊