◇環境保護の住民、市を動かす−−予定地、緑化促進へ
環境省が絶滅危惧(きぐ)種に指定するオオタカなどの希少動物が生息する横浜市青葉区奈良3の遊歩道沿いの斜面に「地下室マンション」が計画されていた問題で、不動産会社「ゼファー」(東京都中央区)が建設を断念したことが分かった。土地を所有する独立行政法人「都市再生機構」は同市へ無償譲渡する意向を既に伝えており、同市は緑地として保全する方針。環境保護を願う地元住民の訴えが行政を動かし、マンション建設を阻んだ。【内橋寿明】
斜面を切り崩して地下2階地上3階、108室のマンションを建てる計画は04年4月に明らかになり、住民らは反対運動を展開。署名を集めて野鳥観察公園の誘致を市に陳情し、希少動物のオオタカの生息地保護を訴えた。現地でエコ・フォーラムも開催し、親子連れなどが自然保護の大切さを確認し合った。
ゼ社と同機構は希少動物への配慮から、オオタカの生息調査を開始。調査のために計画が中断されていた05年12月、住民らが市に働きかけていた建築基準条例の改正が実現し、地下部分の容積率の算定方法が厳格になった。このためゼ社は「予定の物件が建てられなくなった」(担当者)として06年10月、建設予定地(1万200平方メートル)の定期借地権設定契約を解除した。
同機構が市に無償譲渡するのは傾斜地(6500平方メートル)に限るが、平地部分(3700平方メートル)もマンションではなく、一戸建て住宅の建設を前提に事業主を探す方針という。傾斜地について同市は「隣接する小川とともに保全したい。緑化を図るために植林も考えている」としている。
小川の清掃活動を行う地元グループ「熊ケ谷(くまがやと)小川アメニティ水辺愛護会」の高尾桂子会長は「地元の皆さんが勇気を出して上げた声に、政治や行政が応えてくれ、努力が実を結んだ。子どもたちに自然が残せてよかった」と喜ぶ。市議会で取り上げた横山正人市議(自民党)は「緑地を地域住民がいかに守っていくかも課題」と話す。
建設予定地はオオタカの他にキジの繁殖地でもあり、小川には、環境省が絶滅危惧種に指定するホトケドジョウやヘイケボタル、オニヤンマなどがすむ。マンションが建てば、希少動物の生態系に重大な影響を及ぼす恐れがあった。 1月21日朝刊