アライグマの生息域が熊本県内で拡大している。2020~25年の6年間の捕獲数は187頭に上り、19年までの10年間と比べて5倍以上に増えた。農作物被害の拡大、感染症の媒介が懸念されており、県は被害への備えと目撃情報の提供を呼びかけている。
北米原産のアライグマは1970年代以降、ペットとして大量に輸入された。逃げたり、飼い主が捨てたりしたことで野生化し、全国で繁殖が進んだとされる。各地で農作物被害が相次ぎ、環境省は2005年に輸入や飼育、譲渡を原則禁止する特定外来生物に指定した。
アライグマは繁殖力が強く、農作物被害のほか、狂犬病やアライグマ回虫などヒトへの感染症の媒介、希少な野生動物を捕食して生態系に悪影響を及ぼす恐れもある。県内では10年に熊本市で初めて見つかって以降、県央や県北などの28市町村の川辺や畑などで生息が確認された。今年は2月までに熊本市と荒尾市で計4頭が捕獲された。
県内の農作物被害額は増加傾向にある。20、21年度はゼロだったが、22年度は約16万円、23年度が1万円、24年度が約113万円だった。野菜類を中心に、果樹、コメにも被害が及んでいる。
対策は、わな猟免許取得者や捕獲従事者による早期発見と捕獲が最も有効だ。県自然保護課は「アライグマはどう猛な一面もある。見つけても近づいてはいけない。写真や動画が撮れたら発見場所や日時などの情報を市町村や県に提供してほしい」と呼びかける。(上島諒)
