バラ科樹木の重要害虫、クビアカツヤカミキリ(クビアカ)の拡大が止まらない。梅の産地、和歌山県では、これまで被害がなかった県中部の町でも被害が確認された。栽培が盛んな地域に侵入を許せば大被害は免れない。地域を挙げて果樹産地を守ろう。
クビアカは、アジアに広く分布する特定外来生物。幼虫は桜や梅、桃などの樹木内部を食い荒らし、最悪の場合は伐採しなければならず、農業経営の打撃は計り知れない。当初は主に公園や街路樹で発生していたが、近年は果樹園での被害が増えてきた。繁殖力が強く、日本では2012年に発見されて以来、関東から関西にかけて16都府県まで広がっている。
近畿では15年に大阪府内で確認されて以来、徐々に勢力が拡大。和歌山県でも被害が北部の自治体から広がり、昨年12月には中部の印南町で初めて被害が確認された。関係者が恐れるのは、同町に隣接する梅の大産地、田辺市やみなべ町への拡大だ。
和歌山県は、病害虫に加えて気象災害の影響をたびたび受けてきた。24、25年は連続で梅がひょう被害に遭い、産地は大きな打撃を受けた。特に25年は、降ひょうによる梅の被害額が47億円以上に達し、県内の農作物被害額としては過去10年で最大となった。
農家らは歴史ある産地を守り続けるため、栽培管理に力を入れている真っ最中だ。産地へのクビアカの侵入を許せば、農業経営を壊滅させる恐れがある。地域や関係者を挙げて、監視体制の強化が欠かせない。
駆除は一匹一匹を見つけていくしかない。成虫は飛び立って移動するため、幼虫の段階で早期に発見し、駆除することが肝心だ。労力不足が深刻で高齢化が進む産地の農家だけが、こうした作業を担うのは難しい。
このため、行政やJA、学生や市民らが一体となって駆除に協力する必要がある。例えば親子で遊んでいる公園の木などでクビアカを発見・駆除することは、梅産地に住んでいなくてもできる。
クビアカには特徴がある。被害樹には幼虫が食べた跡として、ふんと木くずの混ざった「フラス」がある。これを目印にして幼虫を見つけて駆除しよう。判断がつかない場合は、行政やJAの窓口などに相談してほしい。
特に幼虫が活動する3月下旬から11月にかけてがフラスを確認しやすい時期となる。ただ、和歌山県果樹試験場うめ研究所は「冬場の見回りも有効」としている。幼虫が活動を休止する前に排出したフラスが見つかるケースもあるためだ。クビアカの生態を共有し、地域一体となって駆除し、産地を守ろう。 (日本農業新聞 論説)
