庭木としてよく植えられるイヌマキなどを食害する国内外来種「ケブカトラカミキリ」が茨城県内にも生息していることが、筑波大生命環境系の蔵満司夢助教らの調査で初確認された。同県神栖市内で見つかった。幼虫は樹皮の下の形成層を食べて木の成長を阻害し、数年で木を枯死させる。九州地方原産だが、近年は千葉県でも発見された。蔵満助教は「街の景観が一変する可能生もある」と、茨城県での生息拡大に警鐘を鳴らす。
蔵満助教らによると、ケブカトラカミキリは鹿児島県など本来の生息地の九州地方から、人や物の移動などに伴い、国内の他地域に侵入した国内外来種。2008年に本州で初めて千葉県への侵入が確認された。体長は約1センチ。幼虫は、庭木や生け垣として植えられることが多いイヌマキやチョウセンマキなどの木を食害することから、九州地方や千葉県では農薬による予防や駆除が行われている。
調査のため21年に神栖市内で撮影した生物の写真について、蔵満助教が25年1月に再確認していたところ、成虫が写っているのを発見。同月、学生とともに同市を中心とした約100キロの範囲を車で走りながら調べ、市内の2カ所で成虫が木から抜け出た跡の「脱出孔」が見られたり、枯れたりしているイヌマキを数十本見つけた。さらに4~6月の調査では、市内で成虫を確認した。
調査に同行した同大大学院1年の江川和総さんとともに、3月末に論文を投稿し、10月に日本昆虫学会の論文雑誌に掲載された。
蔵満助教は、1000個を超える脱出孔を確認しているとし、「もう少し広い範囲に定着している可能性がある」と指摘。茨城県潮来市や同県行方市内でも、被害を受けたとみられるイヌマキを発見したという。
千葉県で定着した個体群に由来する可能性が高いが、自力で利根川を飛んで越えてきた可能性は低いとの見解を示し「車にくっついたり、イヌマキの苗木についたりするなど、人間の行動に伴い移動してきたとみられる」と説明。茨城県内で被害を広げないため、「分布の拡大状況の把握や対策が必要」と訴えた。
