2006年11月27日

“幻の魚”ホンモロコを特産に 草津市と農家らが連携して養殖

 【滋賀県】水揚げ量の激減で“幻の魚”とされる琵琶湖固有種のホンモロコの養殖に、草津市と地元農家らが連携して乗り出している。将来的に生産を軌道に乗せ、琵琶湖を抱える本場のブランド力を背景にした特産品の開発や、休耕田を活用した新しい産業の創出につなげていく構想だ。 (池田知之)

 道の駅草津(同市下物町)で15日にあった「初出荷イベント」で、市内の3軒の農家や漁師がこの春から養殖したホンモロコを販売した。あめ煮や天ぷらとして店頭に並ぶと、用意した30キロは飛ぶように売れた。

 「こんなに売れるとは思ってもいなかった」。養殖した漁業下村修一さん(66)=下寺町=は驚いた表情を浮かべた。

 下村さんは町内にある約100平方メートルの池で、市の技術支援などを受けながら成魚2キロを産卵させ、約25キロまでに増やした。ほかの2農家も休耕田を活用して、計約75キロの養殖に成功した。

 下村さんはこれまでニゴロブナの養殖も手がけてきたが、出荷までに3年かかった。ホンモロコなら半年で出荷できる。「ふ化させる時期を判断するのが難しかったが、来年は50キロを目指したい」と手応えを感じた様子だ。

 市が「草津産」のブランド化を狙ったホンモロコの養殖事業を始めたのは2004年。既に休耕田を活用した養殖を手掛ける埼玉、鳥取両県の協力を得ながら、生産技術などを研究してきた。

 市農林水産課は「稚魚の時は餌のプランクトンを与える時期が難しく、全滅したこともあった。しかし、体長が3センチ程度になれば丈夫に育つことが分かった」と話す。

 埼玉県では04年度に18トン、鳥取県では05年度に2トンを生産している。ただ、草津市が両県と異なるのは、琵琶湖を抱える県として、産地のブランド化を図れることだ。

 県内では湖南市などの業者がホンモロコを養殖し、年間1万トン以上を出荷しているとみられるが、直接取引がほとんどで一般市場に出回ることは少ないという。

 このため市農林水産課は「まずは地元の消費拡大を図りたい」として、市内のホテルや加工業者に打診し販路拡大を模索する。下村さんも「滋賀だからこそ本場の味で売り込める」と自信をのぞかせる。

 2年前から養殖に取り組んでいる市民団体「県モロコ・フナ養殖研究会」(会員約40人)の田中健雄会長(68)=守山市=は「ブランド化や子どもたちに地元の伝統を伝えることは大事。互いに競争して、いい魚を養殖できたらいい」と、草津の取り組みに期待を込めた。

 【ホンモロコ】 成魚の体長は10−15センチ。外来種による捕食や、産卵と繁殖の場となるヨシ原などの減少で、琵琶湖での漁獲高は激減した。県の調べでは、1994年は246トンだったが、2004年はわずか5トン。県版レッドデータブック(05年版)では絶滅危機増大種にされている。 (中日新聞)

+Yahoo!ニュース-滋賀-中日新聞

Posted by jun at 2006年11月27日 10:54 in ブラックバス問題, 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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