2006年10月20日

セイタカイソギンチャク 異常繁殖警戒(和歌山)

 生命力が強く、駆除が難しいイソギンチャクが、白浜町の綱不知漁港と付近の海で異常繁殖していることが分かった。養殖いけすに付着すると、魚体に傷が付く恐れがあるという。町農林水産課は「被害の報告はまだないが、憂慮すべき現象」と警戒している。

 繁殖しているのはセイタカイソギンチャク(セイタカイソギンチャク科)。同課職員が、イソギンチャクなどに詳しい串本海中公園センター(串本町)の内田紘臣名誉館長に生体を見てもらった。
 熱帯地方に生息しているが、西日本の温暖な海域でも見られる。体色は茶。高さ4センチ、触手を広げた直径3〜4センチが平均的な大きさ。触手がちぎれても、ちぎれた部分が光合成をして増えるため、驚異的に繁殖するという。
 異常繁殖に気付いたのは綱不知地区の漁業島和敏さん(46)ら。貝や釣り餌用のウニなどを捕るためほぼ年中、付近の海に潜っている。
 島さんは「これまで古賀浦で少し見られた程度だったが、ここ3、4年で急に増えた。綱不知漁港内から藤島にかけての水深4、5メートルの海底の岩にびっしりと付き、気持ち悪いほど」と話す。
 内田さんは「紀南地方では30年ほど前まで見られなかった。20年ほど前からたまに見られるようになったが、これほど広がった例は聞いたことがない」と驚いている。近年の水温上昇が要因の一つとみている。
 触手には毒があり、魚が刺されると白っぽい斑点ができることもある。古賀浦周辺でフグを養殖している業者は被害があったという話は聞いていないという。
 いけすに付着した場合、海でいけすを使用したままでは駆除できない。イソギンチャクの抗体が強く、薬品を使うと養殖魚が先に死ぬ。熱湯か真水で駆除は可能だが、イソギンチャクの体の一部が海中に浮遊し、再びいけすに付着してしまう。海中で繁殖しているイソギンチャクを駆除することも不可能に近いという。
 町農林水産課は「魚に対する影響は否定できない。水温が下がる冬場の状況を見守る一方、漁協など関係団体と協議し、駆除対策を考えたい」と話している。
 イソギンチャクの異常繁殖については、町議会9月議会で正木司良議員(無)が町に調査を要請していた。 (紀伊民報)

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Posted by jun at 2006年10月20日 13:12 in 自然環境関連

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