2006年10月19日

ヒメマス:漁獲量激減、謎に包まれ 特産品にも打撃−−中禅寺湖/栃木

 ◇今年、漁獲量600匹台−−研究センター、生息可能数など調査へ
 日光市の中禅寺湖で、中禅寺湖漁業協同組合(吉田国男組合長)の地引き網によるヒメマス漁獲量が今年、過去最低の684匹となったことが、同漁協のまとめで分かった。中禅寺湖を代表する魚ヒメマスは今年、放流100周年を迎え、式典があったばかり。独立行政法人「水産総合研究センター」が、今年度から5カ年計画で生態調査に乗り出しているが、関係者は謎に包まれた激減ぶりに焦りの色を濃くしている。【浅見茂晴】

 ヒメマスはサケ科の淡水魚で、ベニザケの陸封型。北海道の阿寒湖とチミケップ湖が原産地。中禅寺湖では、養殖のため1906年に初めて、青森県の十和田湖産が放流された。奥日光の数少ない特産として、ブランドが確立している。
 同漁協のまとめでは、最盛期だった80年代前半は約1万匹の漁獲を記録した。しかし、その後は減少傾向に転じ、過去10年では98年に最高の4165匹を記録したものの、01年には1000匹を割り込み926匹に。04年には799匹となり、今年は600匹台と激しく落ち込んだ。稚魚の放流は30万〜100万匹と例年と変わらないが、釣り客の釣果も「少なかったようだ」(吉田組合長)という。
 同漁協は、長野や山梨、福島、神奈川県向けに、ふ化直前の「発眼卵」を出荷販売、収入源としている。「湖で育ったヒメマスはふ化率も高いので出荷してきたが、数量を確保できるか今後、問題となってくる」と吉田組合長は頭を抱える。
 同漁協は、ヒメマスで町おこしを目指そうと、「日光ヒメマス」「中禅寺湖ヒメマス」の名称で、知的所有権を登録。ヒメマスのくん製やフレークの開発も進めており、漁獲減の影響が甚大。「減少原因をはっきりさせて、元の状態に戻ってくれればいいが」(吉田組合長)とするが、決め手がないのが現状だ。
 生態調査を進めている同センター上田庁舎(長野県上田市)の坂野博之研究員によると、今後、中禅寺湖でのヒメマス生息可能数を調査し、適正な放流量を見極めていくという。ヒメマスは水温を下げると、脳近くの「耳石」にマークが刻まれ識別できるため、水揚げ時に天然、放流魚の割合を調べ、次期放流量を調節していく方針。 10月18日朝刊(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-栃木-毎日新聞

Posted by jun at 2006年10月19日 19:58 in 内水面行政関連

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