2006年10月05日

“源平ホタル”共生の地ピンチ 大崎・鳴子温泉の池

 ゲンジボタルとヘイケボタルが共存する宮城県大崎市鳴子温泉の「南原ため池」で、池の拡張公共工事が行われている。自然保護団体などは「全国的にも珍しい共生域のホタルが滅びる」と、工事を進める東北農政局に配慮を求めている。

 “源平ホタル”が共生するため池は、鳴子温泉のJR中山平温泉駅の南西約2キロの中山間地にある。大きさは約7400平方メートル。ゲンジボタルは池の流入口と流出口に、ヘイケボタルは池周辺に生息する。毎年7月初旬には、両方のホタルが同時に観測できる。

 市民団体の「大崎市生き活きまちづくり21委員会環境部会」は、南原地区でホタルの観察会を開催している。同部会の斎藤善雄さん(70)=大崎市古川=はこれまでの調査から、「ゲンジ、ヘイケそれぞれ少なくとも1000匹以上の生息が推測される」と説明する。
 ため池の拡張工事は、大崎市鳴子温泉・加美町宮崎地区で建設されている農業用の「岩堂沢ダム」の付帯工事として進められている。工期は11月30日まで。拡張工事に伴い、ため池の水量が一時減らされ、ホタルの幼虫や餌となる巻き貝が死滅する可能性があるほか、ため池と周辺植物の生態系への影響も懸念される。

 1日には、市民ら約10人が参加して南原ため池や周辺のかんがい施設の現地説明会(まちづくり21委員会環境部会など主催)が開かれた。水量が減り、ほとりでは、巻き貝の死骸(しがい)が多数確認された。
 案内役で地元農家の上野勝さん(62)は「農業を続けるためには水も大事だが、環境保全型の農業を進める上で、将来的に(環境に敏感な)ホタルがわれわれの味方をしてくれるはず。工事の影響が極力出ないようお願いしたい」と話す。

 同部会は、引き続き東北農政局にため池工事での配慮を求めるほか、県や大崎市、市民にホタル共生域の保護を呼び掛ける。(河北新報)

+Yahoo!ニュース-東北-河北新報

Posted by jun at 2006年10月05日 15:49 in 自然環境関連

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