近年、アオコの発生が増加傾向にある琵琶湖南湖の西岸部で、湖岸に沿って繁茂する水草が水の流れを妨げ、閉鎖的な水域をつくっていることが滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター(大津市)の調査で分かった。関係者は「水草の異常繁殖によって沿岸帯の水質が悪化していることが証明できた。アオコを抑制するには、水草を刈って水の流れを取り戻すことが大切」としている。
同センターによると、大津市際川地区の湖岸では、2002年夏に初めてアオコの発生が確認された。その後、同地区の湖岸でのアオコの発生回数は琵琶湖全体の発生回数の約3割を占めるまでになり、湖水のカビ臭の原因にもなっている。
一帯では夏から秋にかけて、湖岸の約100メートル沖にセンニンモやマツモなどの水草が幅約500メートルの帯状で南北に伸びる。
同センターが昨年8月下旬から9月中旬の間、南湖で水の流れの方向や速度を計測したところ、南湖中央部では北から南に向けて毎秒約5センチあった水の流れが、西岸部では向きが定まらず毎秒約3センチにとどまった。
水草帯で分断された水域では、春から窒素、リンの濃度が上昇し、夏には南湖中央部の2倍以上に達するなど、植物プランクトンの増殖要因となる栄養分がたまりやすくなっていることも判明した。
同センターの一瀬諭専門員は「水草には栄養分を吸収して水質を浄化する働きもあり、刈り取りの方法に工夫が求められる」と話している。
(京都新聞)