2006年09月11日

えひめリポート:ワニガメは生き延び、カミツキガメは殺処分/愛媛

 ◇安易な飼育やめて!−−「里親」申し出る愛好家も    
 伯方署が6月16日、カミツキガメ(体長約55センチ、甲長約25センチ)を捕獲したのを皮切りにこの夏、危険なカメの捕獲・保護が県内で5件相次いだ。一方、カメの種類によって適用される法律も違い、保護の後に飼育が許可されたり、殺処分が待ち受けたり“運命”はまちまち。安易なペットの飼育や、不十分な管理が危険を招き、同時に動物の命を粗末にしているとも言える。周辺を取材した。【土本匡孝】

 ◆同じカメなのに
 県動物愛護センター(松山市東川町)などによると、カミツキガメは北米・中米原産。甲長約50センチまで育つ。攻撃的でかまれれば大けがをする。ワニガメは米国原産。甲長80センチ、体重100キロを超すことも。おとなしいが、あごの力はカミツキガメ以上。
 6月にカミツキガメを保護した伯方署は外来生物法違反容疑で捜査中、7月4日にワニガメを無許可で飼う男性を偶然見つけ、動物愛護管理法違反容疑で書類送検した。男性が許可を受け、カメは返された。同署は同月27日にもカミツキガメを保護。2匹とも捨てられた可能性が高いという。
 同じカメでも、適用される法律は分かれている。カミツキガメは外来生物法の特定外来生物。ワニガメは動物愛護管理法(今年6月施行)指定の危険動物。それぞれ環境省、知事の飼養・保管許可がいる。渡部成二・同署副署長は「同じカメでもワニガメは生き延び、飼い主がないカミツキガメは殺処分が待つ。何とか動物園や愛好家が許可を受けてくれないか」と表情を曇らせる。
 2匹のカミツキガメは現在、今治市の愛好家男性(40)が飼養(預かり)許可を申請中。「人間が勝手に輸入し、都合が悪くなったら処分するのは納得できない。四国で今後見つかるカミツキガメも保護したい」と語る。環境省高松事務局は生態系保護の見地から「新たにペットとして飼うことは原則できない」とするが、この例は「動物愛護の観点から里親として」飼養許可を申請しているため、同省で審査中という。
 ◆相次ぐ動物保護?n 県警会計課などによると、4月から8月中旬までに県内16署が拾得物や危険動物として扱ったのはカミツキガメ2匹、ワニガメ3匹のほか犬54匹▽猫1匹▽ウサギ1匹▽リス1匹▽スッポン1匹▽ウコッケイ1羽▽インコ2羽▽イグアナ1匹。昨年はヤギやヒツジの保護例もあったという。
 飼い主の意志によらず「占有を離れた家畜」と判断されれば拾得物となり、飼い主が現れなければ2週間公告し、6カ月後に拾得者のものになる。一方わざと逃がしたものや野生動物、人に危害を及ぼす恐れがある動物と判断すると、県などに引き渡す。この場合は動物園などに引き取られるケースを除き、最終的には殺処分になる。
 四国中央署などはホームページで保護した動物を紹介している。県警会計課は「動物がいなくなったら、すぐ警察や保健所に連絡を」と呼び掛け「警察も困るが、人の勝手で命を失うことになる動物が一番かわいそうでは」と訴えている。 9月10日朝刊 (毎日新聞)

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Posted by jun at 2006年09月11日 19:20 in 自然環境関連

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