2006年09月05日

国内外来種オヤニラミ放流禁止 県が検討 琵琶湖など生態系保全へ

 滋賀県が、県条例に基づいて琵琶湖や県内の河川への放流や廃棄を禁じる指定外来種に、環境省が準絶滅危惧(きぐ)種に指定している淡水魚のオヤニラミを選定する方向で検討を始めた。

 国内の他地域に生息する「国内外来種」の移入を未然に防ぎ、地域固有の生態系を保全するのが狙い。指定されれば、国内外来種に対する全国初の規制となり、貴重な野生生物の保護活動にも一石を投じることになりそうだ。
 今年3月に制定した「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」に基づいて指定する。指定外来種は、国の特定外来生物法で規制されない外来種が対象で、飼育の届け出や放流の禁止などを義務付けられる。
 オヤニラミはスズキの仲間で、体長約10センチに成長する肉食魚。京都府以西の本州や四国北部、九州北部に分布し、京都府や兵庫県など12府県は、絶滅危惧種や希少種としてレッドデータブックに記載している。
 一方、滋賀県内では最近、本来生息していないはずのオヤニラミの目撃情報が相次いでいる。県立琵琶湖博物館によると、野洲市の野洲川支流や大津市の大石川でそれぞれ数10匹の定着が確認されており、野洲川の個体群はタンパク質の分析から九州産であることが判明している。
 生態系への影響は不明だが、観賞用としても人気が高く、放流される可能性が高いことから、県環境審議会の指定外来種の候補に挙がった。
 琵琶湖博物館の前畑政善総括学芸員は「生物は生息場所に適応した遺伝子を持っている。貴重な在来種を守るための『善意の放流』であっても、長い歴史の中で築かれた地域ごとの種の多様性や遺伝的多様性に影響を与えることになる」と指摘する。
 県自然環境保全課は「本来は生息しない地域への拡大を防ぐには管理が必要。環境保全の在り方を考える新たな一歩になれば」としている。(京都新聞)

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Posted by jun at 2006年09月05日 10:06 in 自然環境関連, 内水面行政関連

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