2006年08月18日

世界遺産は「無法地帯」 違法な釣り横行 白神山地

 青森、秋田両県にまたがる世界自然遺産の白神山地で、違法な釣りが横行している。白神山地は禁漁区となっており、漁業権のある周辺漁協が取り締まりに当たっているが、現場は遠く監視の目がほとんど及ばない。関係者からは、乱獲による生態系への影響を懸念する声も出始めた。

 「50年ほど前は、魚影で川の色が変わるほど魚がいた。当時に比べれば、魚がだいぶ減ってしまった。入山者の7、8割が違法釣り行為をしている」
 こう話すのは、林野庁でボランティア巡視員を務める青森県鯵ケ沢町の無職竹越恵蔵さん(69)。竹越さんは、1年の3分の1ほど白神山地に入山し、何度も違法なイワナなどの釣り行為を目撃してきた。しかし、権限がないため注意するのがやっとだという。

 白神山地の所有は林野庁だが、同庁の巡視員は入山届を出していない違法入山者を指導できても、釣り人を規制する権限を持っていない。
 事態を重く見た東北森林管理局は、入山シーズン前の2月下旬から3月下旬にかけ、秋田、青森両県の6漁協に、初めて文書で取り締まりへの協力を要請した。

 しかし、権限がある大半の漁協は、人手不足などを理由に取り締まりに力が入らないのが実情。
 秋田県藤里町の粕毛漁協は「禁漁区自体が山奥にあり、監視に行くにも1日から2日かかる。なかなか監視には行けない」と語る。

 また、青森県深浦町の岩崎村漁協は「注意した監視員が釣り人に囲まれ、怖い思いをしたこともある。山の中では助けも呼べないため、取り締まりは容易でない」と打ち明ける。

 東北森林管理局青森事務所の小野英典自然遺産保全調整官は「自然遺産地域は、動植物すべてを保全していく必要がある。乱獲が続けば生態系に影響を与えかねない」と、危機感を強めている。
(河北新報)

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Posted by DODGE at 2006年08月18日 08:25 in 自然環境関連

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