2006年08月04日

アライグマ:人気ペット、嫌われ者に 農業被害深刻、県が「防除指針」 /兵庫

 ◇県南東部、農業被害深刻?n 六甲山系のある県南東部を中心にアライグマによる農業被害が急増しているため、県は捕獲や処分を進める「アライグマ防除指針」を策定した。70年代、アニメで人気を集め、ペットとして盛んに輸入されるようになったが、無責任な飼い主のために野生化して、トウモロコシやブドウを食い荒らす「嫌われ者」となってしまった。県内での生息確認は28市町に及び、05年度の捕獲数は361頭に上っている。各市町は箱わな(檻(おり))を仕掛けて防除に乗り出す。

 北米原産のアライグマは、元々、日本には生息していなかったが、70年代にテレビアニメ「あらいぐまラスカル」が大ヒットした影響などで、輸入が多くなった。
 神戸市立王子動物園によると、パンや菓子などもよく食べ、飼育は楽しいが、実は気性は激しく、成獣にかまれると大けがをすることも。「あくまで野生動物。飼いやすいように改良されてきた、犬や猫のように考えてはだめ」と警告する。
 アニメでも主人公の少年はアライグマの「ラスカル」と友情を結ぶが、成長すると作物を荒らし始め、涙ながらに森に返すという結末を迎え、野生動物の飼育の難しさが描かれている。
 しかし物語の教訓は生かされず、日本では世話を持て余して捨てられたり、逃亡したりして野生化。03年度は41都道府県で生息情報があった。県森林動物共生室によると、県内の捕獲数は98年度に2頭だったが、02年度に12頭、05年度には361頭にまで急増。農業被害額は、04年に1500万円だったが、05年は2800万円に倍増している。三田市ではスイカやイチゴが食い荒らされる被害が相次いでいる。
 春の繁殖期には民家の屋根裏で子どもを生むため、天井や壁にふん尿によるシミや悪臭が発生。北海道でエゾサンショウウオを捕食するなど在来種への影響も危惧(きぐ)され、05年には輸入や飼育が原則禁止される「特定外来生物」に指定された。
 県の指針では、当面の5年間、被害の程度に応じて「軽微地域」は排除を、「甚大地域」は生息数の減少を目標としている。各市町では指針に沿い狩猟免許の保持者らが専用の箱わなを設置。捕獲後、麻酔薬や二酸化炭素などで処分するが、許可団体には例外的に譲り渡すこともできる。
 同室は「もっと増えないうちに排除できれば、処分数も経費も少なくてすむ」としている。【竹内良和】
〔神戸版〕

8月3日朝刊
(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-兵庫-毎日新聞

Posted by DODGE at 2006年08月04日 13:17 in 自然環境関連

mark-aa.jpg