トマト栽培に使われるセイヨウオオマルハナバチが特定外来生物被害防止法(外来生物法)に基づく特定外来生物に指定されることが14日、政府の事務次官会議で決まった。18日の閣議で正式決定する。生態系に悪影響を及ぼすおそれがあるためだが、農業の現場では「生産コストがかかって今の生産量を維持できない」と心配する声も聞かれる。
セイヨウオオマルハナバチはヨーロッパ原産で、ハウス栽培されるトマトやナスなどの授粉に使うため、91年に導入された。人の手でホルモン剤を吹き付ける人工授粉法に比べ手間がかからず、品質も向上する。トマトでは全国の栽培面積の約4割で使われているという。
特定外来生物に指定されると、飼育や栽培、輸入、野外に放つことなどが禁止される。許可を受ければ飼育は可能だが厳重な管理が求められる。セイヨウオオマルハナバチは昨年6月の同法施行以前から、ブラックバスと並んで賛否両論が噴出。国民からの意見募集でも「トマトの価格上昇につながる」など規制に慎重な意見も多かった。
トマト産地の一つ、北海道鵡川(むかわ)町のJA鵡川では「在来種のハチへの転換を進めているが効果はまだはっきりしない。これまでのホルモン剤栽培に変えるのもコスト面から難しい」と頭を悩ませている。【山本建】
(毎日新聞)