2006年06月23日

論戦・知事選2006:候補者アンケート/3 ダム計画 /滋賀

 Q1、国土交通省は丹生ダムを「規模縮小」、大戸川ダムを「凍結」と新方針を出した。これを是とするか。その理由は。
 Q2、<是とする場合>治水におけるダムの有効性は限定的、あるいは「逆効果」とする指摘があるが、河川改修などの代替案ではなぜいけないか。
<否とする場合>既に移転した人たちにどう説明するか。河川改修などの代替案で本当に水害を防ぎ得るか。財政厳しい折、長期にわたっての河川改修などが県に可能か。

 (上から届け出順)
 ◇凍結堤防強化で十分対応−−嘉田由紀子候補=無新
 (1)丹生ダム、大戸川ダムともに建設を凍結する。丹生ダム流域の治水は堤防の強化、河川改修、森林保全などで十分対応できるし、流域治水は30〜50年続くので、地域の仕事づくりにつながる。また、大戸川ダムを作っても水位の4〜5センチにしか対応できないから、洗堰(あらいぜき)で瀬田川の水位操作を科学的に行えば足りる。大戸川ダムはつくる必要がない。
 (2)(1)ダム建設を前提に集落移転を余儀なくされた地域の人たちへの謝罪と社会的配慮を十分に行う。(2)現知事は淀川水系流域委員会の結論を無視して六つのダム建設を強行しようとしているが、ダムをつくらなくても治水利水の実を挙げることはできる。かつては堤防を強くし、上流の山を守り、水防活動をしながら治水対策をしてきたのだ。(3)大型ダムはゼネコンを肥やすだけで地元は潤わない。地元建設業者が直接請け負える規模のきめ細かな公共事業、地域住民と一体になった川普請を支援する公共事業を増やし、地域経済を活性化させる、(4)農業用水などの利水対策として、循環型水利用の仕組みを構築する。
 ◇必要、大規模洪水に即効性−−国松善次候補=無現
 (1)国交省方針には賛成できない。琵琶湖の洪水被害は、河川とは違い、広範囲で長期にわたることから、極めて特異な治水対策が必要である。ダムにはそれぞれ目的があり、規模の大小や自然環境保全との対立関係で一律に論じることは適当ではない。丹生ダム、大戸川ダムについては、沿川ならびに琵琶湖岸の人々の生命・財産を守り、暮らしの安心を確保するため、また瀬田川洗堰(あらいぜき)の全閉問題など琵琶湖淀川流域の上下流問題を解消するために必要不可欠であり、早期実現を国に求めていく。
 (2)全国各地で台風や局地的な集中豪雨が起こっており、琵琶湖においてもいつ大規模な洪水が起こるかわからないという今、ダム以外の方法で、住民の生命・財産、暮らしの安心を守れる方法があるのか疑問である。ダムの一番の強みは「即効性」であり、さまざまな方法の中で、最も早く効果を出すことができる。河川改修がその治水効果を十分発揮するには、全川の改修が完了する必要があるが、改修完了までに非常に長い期間と大きな費用を要することを考えると、その間、沿川や琵琶湖岸の人々を危険にさらすことになり、県民の生命・財産を守ることが第一の使命である滋賀県知事という立場にある者は、そうした方法は取るべきではないと考える。
 ◇中止、琵琶湖に悪影響危惧−−辻義則候補=無新
 両ダムとも利水中心のダムとして計画されましたが、それは過大な水需要を見込んだ誤った論拠に立ったものでした。水余りがはっきりしてきた今日、丹生ダムは「縮小」ではなく「中止」、大戸川ダムも「凍結」ではなく「中止」とするべきです。特に、自然破壊と琵琶湖への悪影響が危惧(きぐ)される丹生ダムの建設中止が大切です。「ダムをつくれば万事解決」として、河川改修など治水対策を遅らせてきた国と県の責任は重大です。
 ダムを強要してきた国と県は、長年月にわたって移住などの苦難を強いられてきた地域住民に、政策の誤りを謝罪をし、被害の実態に合わせて個人補償を行うのが当然です。また国と県は、当該自治体・地域の振興と再生策についても、関係住民などの要望をきちんと受け止め、責任を持って実施すべきです。
 高時川、大戸川の治水対策は、「緑のダム」といわれる森林の保全・涵養(かんよう)、堤防強化と河川改修などを組み合わせてすすめます。その際、先人の知恵も生かすことを重視します。また河川改修に対する国の財政支出を拡充するように求めます。

6月22日朝刊
(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2006年06月23日 10:15 in 自然環境関連

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