【南城・糸満】国指定天然記念物のリュウキュウヤマガメと外来種のミナミイシガメの交雑種が糸満市真栄平で発見され、現在、南城市玉城のおきなわワールド文化王国玉泉洞で保護されている。県教育庁文化課では「雑種ができたということで長い間守られてきたリュウキュウヤマガメの遺伝子が汚染される」と生態系に与える影響を危惧(きぐ)している。
交雑種は5月26日夜、糸満市真栄平の畑に挟まれた道路で発見された。
これまで同一場所で飼育されているリュウキュウヤマガメとミナミイシガメの間で誕生した交雑種や、リュウキュウヤマガメの生息地である沖縄本島北部での両種の交雑種は確認されているが、本島南部の自然の状況下で発見されたことで、交雑が進んでいる可能性もある。
リュウキュウヤマガメは日本固有種で沖縄本島北部、渡嘉敷島、久米島に分布。環境省の「日本版レッドデータブック」で絶滅の危険が増大している種にも挙げられている。
ドーム状の甲羅には3本の筋が隆起しており、甲羅の縁にはギザギザがある。上あごの部分が鍵状で全体的に貴褐色をしているのが特徴。一方、ミナミイシガメは中国、台湾、インドネシアなどが産地。
発見された交雑種はこれらリュウキュウヤマガメの特徴が弱く、おなかの文様も異なっており、甲羅の筋も1本しかない。
県教育委員会文化課は「リュウキュウヤマガメの生息地に他種が入ると生活場所や餌をめぐって競争が起こり、このような競争にさらされていないヤマガメは生存競争に生き残れない可能性がある。また遺伝子も汚染される」と指摘。「ペットとして飼育されていた外来種が野外に逃げ出し、本来の種が壊されてしまう」と注意を促した。
(琉球新報)