長浜市と湖北町に広がる早崎内湖干拓地の内湖再生計画で、滋賀県が示した琵琶湖と内湖の接続方法について、地元漁業者から異論が出ている。内湖の水位を琵琶湖に連動させる県の案に対し、漁業者は「琵琶湖の水位操作で、魚の産卵場所が干上がってしまう内湖では意味がない」と、湖から切り離して水位を保つゲートを接続部に設置するよう求めている。
県が5月に内湖再生計画検討委員会(委員長・島谷幸宏九州大大学院教授)で示した計画案では、干拓地の中央を流れる丁野木川の堤防を取り除いて、干拓地全体に水を張り、川の開口部で琵琶湖と接続する、となっている。
琵琶湖の水位と連動させるために、ゲートは設けず、「琵琶湖の水の動きを生かして水辺の生態系を復元させる」(県琵琶湖環境政策室)としている。
これに対し、南浜漁協の鳥塚五十三組合長は「湖岸では急激な水位低下で、多くの魚の卵が干上がって死んでいる。琵琶湖の水位変動の影響を受けない安定した形でなければ、かつての内湖は戻らない」と訴える。
早崎内湖は1963年に干拓事業が始まるまで、琵琶湖最大のゲンゴロウブナの産卵場だったといい、地元は水産資源の回復を期待している。
内湖再生計画検討委員会の西野麻知子副委員長(県琵琶湖・環境科学研究センター総括研究員)は「ゲートは選択肢の一つだが、魚類の生態に対応したゲート操作には科学的な検証が必要」と話している。
県は外来魚の侵入を防ぐ接続部の構造も検討課題に挙げており、年内の策定を目指している。
(京都新聞)