2006年04月26日

シーボルト:蘭の博物館にニゴロブナなどの標本 琵琶湖で入手か /滋賀

◇収集地、文献でも裏付け−−細谷・近畿大教授らが調査し確認
 シーボルトは琵琶湖から魚を入手していた――。幕末に長崎・出島に滞在したオランダ商館医で、多数の日本の動植物標本などを持ち帰ったことで知られる博物学者、シーボルト(1796〜1866年)のコレクションの中に、ニゴロブナなど琵琶湖の固有種が存在する。細谷和海・近畿大教授(魚類学)らが昨秋、オランダ・国立ライデン自然史博物館で調査し、これらの固有種などを改めて確認。シーボルトが1826年に長崎―江戸を往復した際、琵琶湖・淀川水系で入手した可能性が高いと結論付けた。【服部正法】

 日本の固有種の多くは、シーボルトが日本滞在中に収集した標本を基に命名されており、その標本はライデン自然史博物館で保管されている。しかし標本の採集場所については、標本を基に編まれた「日本動物誌」では「日本」「長崎近辺」としか記されておらず、詳細は分からなかった。
 細谷教授らは、県琵琶湖・環境科学研究センターとの共同研究として、コレクションの調査を実施。昨年11月に同博物館で、琵琶湖固有種のニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、琵琶湖・淀川水系と岡山平野のみに住むアユモドキなどの標本を確認した。
 さらに細谷教授は、シーボルトの著書「江戸参府紀行」からシーボルトの足跡をたどり、出島から出られなかったシーボルトが江戸への往復の際、▽京都、大津で宿泊していること▽往復とも瀬戸内海を海路で移動していること▽琵琶湖・淀川水系の淡水魚には頻繁に言及があるが、岡山の淡水魚に関する記載がないこと――などから、琵琶湖・淀川水系で入手・購入したと考えた。
 細谷教授は「すべてのシーボルトの標本を精査する必要がある。収集地が分かれば、失われた日本の淡水魚相の原風景を復元できる」と話している。

4月25日朝刊
(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース- 滋賀-毎日新聞

Posted by DODGE at 2006年04月26日 10:07 in その他のニュース, 魚&水棲生物

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