2006年04月08日

琵琶湖:強い台風が付近通過時 深水層、水温上がるが酸素回復せず/滋賀

 ◇県の環境科学研究センター調査
 強い台風が琵琶湖付近を通過すると、琵琶湖北湖(琵琶湖大橋以北、最大水深約104メートル)の水深40メートルより下の深水層では水がかき混ぜられて水温が上昇するものの、深水層全体の酸素回復にはつながらない可能性が高いことが、県琵琶湖・環境科学研究センターの研究で分かった。北湖の湖底近くでは湖水の酸素(溶存酸素)の減少が懸念される。台風による湖水の混合で湖面近くの層から深水層に酸素が送られる可能性も指摘されてきたが、実際には酸素回復は確認できなかった。

 北湖では、冬に湖面近くで冷えた水や雪解け水などが湖底近くに沈みこんで湖水が混合。春以降は水深20メートル程度に出来る「水温躍層」を境に表水層と深水層に分かれ、深水層では酸素の消費が進む。
 同センターの熊谷道夫・琵琶湖研究部門長らが、04年10月下旬に琵琶湖付近を通過した台風23号などの影響を調査した。台風通過時に湖流が深水層で激しく動いたことが判明。湖底近くの水深90メートル地点では急激な水温の上下を確認し、深水層での水の混合が示唆された。
 水深90メートルでの溶存酸素濃度はこの年、例年と比べ高かったというが、水深40メートルより下の深水層全体の水温と溶存酸素濃度の変動を算出すると「水温が上昇」「酸素濃度は減少」という結果に。熊谷さんらは「台風はかくはんすることで深水層内の水の上下混合を促進するが、表水層から深水層への酸素供給には必ずしも貢献しない」と結論付けた。
 熊谷さんは「酸素量について、湖底付近だけでなく深水層全体で見て議論できるよう、監視体制を作ることが必要」と話している。【服部正法】

4月7日朝刊

+Yahoo!ニュース- 滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2006年04月08日 12:39 in 自然環境関連

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