2006年03月28日

琵琶湖:水を酸素と水素に電気分解 南湖・沖合の湖底窪地で実験構想 /滋賀

 ◇酸素は深層濃度回復に、水素は代替燃料に活用
 琵琶湖の水を酸素と水素に電気分解し、酸素を湖底付近の水に溶けている酸素(溶存酸素)に、水素を化石燃料の代替燃料に使おうと、予備的な実験を進めている研究者らの一部が、琵琶湖南湖の矢橋帰帆島(草津市)沖合の湖底にある窪地(くぼち)での実験を構想している。実施は決定しておらず、具体的なスケジュールも未定だが、水槽で行っている現在の実験を進めて、貧酸素状態が懸念される場所を選んだ、琵琶湖での実験第1段階としての提案だ。

 琵琶湖では近年、最大水深約104メートルの北湖(琵琶湖大橋以北)の湖底付近で、溶存酸素の減少が懸念されている。冬期に湖面近くの冷やされた水などが湖底方向に沈みこみ、深層での酸素濃度を回復する「琵琶湖の深呼吸」の仕組みが知られるが、地球温暖化などの影響で回復が近年不完全になっているとの指摘もある。
 溶存酸素の減少問題を受け、県琵琶湖・環境科学研究センターの熊谷道夫・上席総括研究員らが04年、湖水を分解し、酸素と水素をそれぞれ琵琶湖の保全とクリーンエネルギーに生かすという計画を提唱。計画を進める研究者らによる「琵琶湖環境とエネルギー検討委員会」(委員長、伊藤靖彦・同志社大教授)が昨年8月に発足。湖水の安定的な電気分解の可能性や、電気分解が生態系に与える影響などを調査中だ。窪地での実験は08年度ごろ以降からの実験の選択肢の一つとして、熊谷さんらが提案しているもの。
 窪地は、矢橋帰帆島の埋め立ての際に湖底を浚渫(しゅんせつ)して出来たもので、約500メートル四方にわたり、周辺湖底(水深約3メートル)より約10メートル深く落ち込んでいる地形。窪地の底近くでは夏季には溶存酸素がゼロになることもあるといい、状況が懸念されている。【服部正法】

(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2006年03月28日 04:50 in 自然環境関連

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