2006年02月27日

クラウセン、完全優勝!/BASSバスマスター・クラシック:最終日

06c3_luke1-2.jpg サンダーストーム来襲により、試合時間が遅れて幕を開けたBASS CITGOバスマスター・クラシック2006の最終日。1mを超える大波、茶色く濁った水質、強風と対峙したトップ25名の選手たちは苦戦を強いられ、初日と比較すると半分以下のウエイトに低迷。一方、初日から首位を死守したルーク・クラウセンが3日間トータルで56Lb2ozをウエイイン。2位のリック・モリスに約5Lbのリードをつけて“フロム・ワイヤー・トゥ・ワイヤー”でクラシックの頂点に降り立った。。クラウセンは弱冠27歳の若手アングラーで、優勝賞金50万ドルを誇る2004年度Wal-Mart FLW Tourチャンピオンシップでも優勝経験を持つ。06c3_scene2.jpg今回のクラシックで合わせ、100万ドルを稼ぎ出した。また今大会でクラウセンがウエイインした合計ウエイトは、クラシック歴代第5位。5バス・リミット導入後のクラシック優勝ウエイトを更新した。

 2日めのウエイイン終了時、平静を装っていたクラウセンは、2年前のFLWチャンピオンシップを思い出し、06c3_kvd2.jpg「あのときも優勝できると思っていた。特に緊張することなく最終日に臨めたし、今回も特別気持ちが浮いた感じはない」と語っていた。クラウセンの優勝が決定し、昨年度クラシック覇者のケビン・バンダムから優勝トロフィーを受け渡されると、強張った面持ちが一気にゆがみ、笑顔で天を仰いだ。

 初日にスーパービッグストリンガーの29Lb6ozをウエイインしたクラウセン。天候の移り変わりにより、2日めは14Lb15ozとウエイトを大きく下げた。トータル44Lb5ozで迎えた最終日。2位のロン・シャフィールドとの差は約5Lbだった。シャフィールドの後ろにはクラウセンの猛攻を追撃しようと、地元フロリダ勢が名を連ねた。ビッグリードで迎えた大会3日めであったが、1尾のビッグフィッシュで順位が入れ替わるレイク・トホのポテンシャル。クールを決めたクラウセンであったが、あの状況で自分をコントロールするのは容易ではない。06c3_lukecasting2.jpg

 ところが、最終日の早朝、思わぬ自体が発生した。昨日発令されていたサンダーストームが開催地上空に接近。雷鳴が轟き、トーナメントは20分遅れて幕を開けた。しかしこれは、まだストームの前兆でしかなかった。スタートから数時間は穏やかなムードを装ったトホだったが、これは嵐の前の静けさというやつで、その後風速12mの強風が来襲。時折、風速18m近い突風が吹き抜けた。モーニングバイトを攻略したラリー・ニクソンは、「素早く4尾を釣りあげたが、突風が吹いて私のクラシックは終わった」と述べると、ジョージ・コクランは「風速25mは超えていた」と冗談混じりに答えたが、湖上で競技する選手たちにはそれほどの豪風に感じたのかもしれない。
 
 クラウセンに5Lb差で迎えたシャフィールドの最終日。昨日のレポートでも記したが、彼はクラシック1997年大会で僅差で破れている。この日、彼は前2日間同様にフロッグを中心に展開。グッドフィッシュを10バイト以上得たが、無情にもランディング手前でバスはフックから逃れ、大きなため息を誘った。最終日は3尾で7Lb15oz、合計47Lb14ozに止まった。20年以上に渡りBASSと歩みを共にしたシャフィールドだったが、彼は来シーズンから主戦場をFLWに移す。彼のBASSのキャリアは不本意な形で幕を閉じた。
 テリー・スクローギンス、プレストン・クラークもウエイトを伸ばせず。クラウセンはクラシックの栄冠を射程距離内に収めた。
 そこに百戦錬磨のケビン・バンダムがこの日のトップウエイトとなる15Lb7ozをウエイインする。多数がソフトスティックベイトのノーシンカーリグで攻略したが、強風でルアーコントロールが上手くいっていなかった。バンダムはスピナーベイトを多用し、他のアングラーがいまだ1尾も釣りあげていない時間帯に、すでに10尾以上を釣りあげ、徐々にウエイトを伸ばしていった。それでも一歩及ばず、トータルは44Lb8ozで止まる。

 一方、首位で最終日を迎えたルーク・クラウセンは、ディレイや強風、荒波を気にせず、彼のベストスポットであるレイク・キシミーの最南端東部へ向かった。06c3_lukefishing2.jpg1投めで5Lb13ozを釣りあげ、続いてスモールフィッシュを追加していった。ニクソンが語ったように、クラウセンもレイクが荒れる前にバイトをものにし、ウエイトを上げた。11Lb13ozをウエイイン。トータル56Lb2ozをマークし、クラシックの王座に着いた。
06c3_lukebass2.jpg クラウセンには3つの勝因がある。1つめはエリアだ。彼はレイク・キシミー南東部を陣取ったわけだが、ウエイインした大半のバスをこのワンエリアから引きずり出した。2つめは、ウエイト配分にある。最終日に釣りあげた5Lbバスは、彼がこの日ウエイインした5尾の内、半分に値するクオリティーフィッシュだった。この1尾が入っていなければ、彼の優勝もきわどい展開になっていただろう。また、なんといっても、初日の29Lb6ozが功を奏した。彼のトータルが56Lb2ozであることから、初日のリードが優勝を大きく引き寄せたと言っても過言ではない。そして、彼のバスフィッシングに懸ける思いが頂点へと導いた。クラウセンは昨年、ワシントン州にある自宅を売却したという。現在は定住地を持たず自動車で移動しながら、転戦を繰り返す。それだけのデディケーションを持つアングラーだけに、多くの仲間や関係者から賞賛されるビッグウィンとなった。
 しかし、クラウセンはゆっくりと優勝の余韻に浸っていられない。3月1日からFLW Tour第3戦がスタートする。早急に移動してプラクティスに臨む予定だ。

 06c3_lukebassbag2.jpg basswaveのソースによると、ルーク・クラウセンは今季FLW TourとFLWシリーズに専念する予定で、BASS CITGO Eliteシリーズには参戦しないという。クラウセンはFLWのスポンサーであるシェビーチームの一員で、契約内容により彼はFLWロゴなどをボートに掲載するのだが、BASSは他団体のロゴをボートに掲載するのを禁止し、彼のスポンサーも契約によりロゴを隠して試合に出場するのを禁止している。そのため、彼はFLWに専念すると思われる。ちなみに、クラウセンは現在レンジャーボート、ヤマハ、シェビーのスポンサーを受けている。これはすべてFLW系スポンサーであり、BASSの現在のスポンサーはトライトンボート、マーキュリー、トヨタである。つまり、クラウセンはスポンサーロゴの着いたシャツを着用して出場しているため、BASSバスマスター・クラシックでFLWのスポンサーが大きく報じられたことになる。一方で、彼がFLWチャンピオンシップで優勝した際のスポンサーは、トライトンボートにマーキュリーだった……。彼はビッグマッチで優勝するたびに、真逆のスポンサーを受けている。
06c3_nixson2.jpg ハッピーエンドで終了するはずだったクラシックだが、思わぬ展開が待っていた。クラシック優勝者はディフェンディング・チャンピオン枠で次回クラシックに出場できるはずなのだが、それはチャンピオンがEliteシリーズに出場した場合のみ適応されるルールなのだ。彼はEliteシリーズにエントリ−していないため、彼が次回クラシックに出場するには、バスマスターサザンorノーザンツアーに出場し、自力でトップ3内にフィニッシュしない限り、クラシックへのカムバックはありえない。また次回クラシックには2006年大会のトップ10がクオリファイされるが、ロン・シャフィールド(3位)、ジョージ・コクラン(7位)、ラリー・ニクソン(10位)もFLWに専念するため、彼らのクラシック出場も絶望的と思われる。

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Posted by DODGE at 2006年02月27日 09:01 in 海外トーナメント:BASS, スナップショット

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