これは地震の前触れ? 19日午前10時ごろ、糸満市西崎の漁港内で、異様な形の魚が海面付近を泳いでいるのを釣り人らが発見、網で捕獲した。釣り人らの連絡を受け、現場に駆け付けた本部町の美ら海水族館の職員によると、ユキフリソデウオと呼ばれる深海魚の幼魚とみられ、県内で発見されるのは珍しいという。
深海魚は、しばらくバケツの中で元気に泳ぎ回っていたが、次第に衰弱し昼すぎに死んだ。
捕獲したのはイカを釣ろうと港を訪れていた大城光浩さん(38)と、瀬渡し業の重武辰彦さん(30)、有川聡さん(同)の3人。岸壁近くの海面で、口をパクパクさせながら浮いているのを発見。「最初はビニール袋かクラゲかと思った」(大城さん)が、捕らえてみると銀色に輝くうろこに長い胸びれがあり、深海魚だと直感したという。
体長は約15センチ。背びれを波のように揺らして直立した状態で泳ぐ姿は、深海の神秘的な雰囲気を醸し出していた。3人によると、この日の未明には、港内がうねって渦を巻くなど、いつもと潮の様子が違っていたという。
標本にするため個体を引き取った水族館学芸員の佐藤圭一さんは、「なぜ沿岸に現れたか分からない。成長すれば1メートル以上になる魚。飼育例がないので、ぜひ生きていてほしかった」と残念がった。
(琉球新報)