2006年01月16日

コロラド州でルアーが非合法化!?

logo2.gif コロラド州では、ルアーがあまりにもリアルになってきているため、ルアーの使用を一部禁止する動きが出ているらしい。その真相や如何に!?

 コロラド州には、地元生物学者を交えたフィッシング・レギュレーションを検討する「コロラド州自然保護委員会(The Colorado Wildlife Commission)」たる組織が存在する。彼らは先日行なわれた会議で、「フライとルアーのみ使用可能な水域」で匂い付きのルアーとルアーへ匂いをつけるアイテム(フォーミュラなど)の使用を禁止する決定を下した。この州条例は2006年1月1日から施行されている。
 コロラド州には山が多く、渓流でのフライフィッシングが盛んなバックグラウンドがある。「フライとルアーのみ使用可能な水域」には大小の湖沼27ヶ所が含まれており、それらの水域にはバスも生息している。そのほとんどがフロント・レンジ(ロッキー山脈の東側地域で、コロラド州デンバー周辺を示すエリア)に集中していて、そこは州内でも人口密度が高いだけに、多数のアングラーに影響が及ぶと予測される。

 コロラド州だけに限ったことではないが、米国内の多くの水域ではすでにアングラーによる乱獲を防ぐために、キープしてもよい魚の尾数がデイリー・バッグリミットで定められている。つまり、センテッド・ルアーを用いようが否が、どれだけアングラーが釣りあげても、魚をリリースしなければならない。またこのレギュレーションは、10数年も前に導入されているのだ。

 今回の条例決定について掘り下げてみると、バークレイ社(ピュアフィッシング)の「パワーベイト」と関係があるという。トラウトは高い学習能力を持っているため、フライフィッシングであっても、近年は容易に釣りあげるのが難しくなっている。そこにパワーベイトが誕生し、アングラーはその疑似餌で釣れるとわかると、瞬く間にコロラドのフィッシングシーンへと浸透していった。セントベイトの威力は凄まじく、実際には魚がグラブやエッグシェイプの製品などを飲み込み、素早く安全なリリースを妨げていると報告された。パワーベイトの成功もあり、多数のメーカーが同様のルアーを開発したのは言うまでもない。

 また、州の水産管理局はこれらのマテリアルをアーティフィシャルルアー(疑似餌)ではなく、ベイト(エサ)としてカテゴリーしていた事実も、セントベイトを使用するアングラーの増加に拍車をかけた。そもそもコロラド州条例によれば、1996年に「“ルアー”は長さが1 1/2in以上のもの」とコロラド州フィッシング・レギュレーションに記載された背景がある。当時、ハードベイト、ソフトベイトを問わず、州内のトラウトを保護するには適当なサイズだと考えられていた。しかしここにきて、科学の発展やメーカーの新開発により、「エサより釣れるルアー開発」が加速化。「100%ナチュラルなマテリアルから作られたルアー」が登場する。
 上記レギュレーションが決定した以降も水産管理局はキーパーサイズの決定やフライ・ルアーフィッシング・オンリーなどのルールを導入して、河川・湖沼全体のクオリティーをキープしてきた。ところが、調査のために採取した魚を解剖してみると、ルアーだけでなく、フック、シンカー、ラインなどが頻繁に見つかるようになった。
 委員会所属の生物学者とアングラーがタッグを結成し、調査のために5尾の4Lbクラスのトラウトを釣りあげる実験を行なった。その結果、深くフックを飲み込んだ3尾がすぐに息絶えてしまった。

 委員会はセントベイトを禁止した場合、アングラーへどれだけインパクトを与えるのか把握するのは難しい。市場でもっともホットなルアーをアングラー取り上げてしまうわけだから、感情的な意見も飛び交う。他州の例を挙げると、「自然保護が目的だから」といえば、賛成多数で可決される。委員会、水産管理局にとっても難しい選択と対峙。そして彼らはひとつの解決案を提示する。
 「フライ、ルアーを含む疑似餌とは、ウッド、プラスチック、シリコン、ラバー、エポクシ、グラス、毛、金属、羽根、ファイバーで作られ、完全またそうでなくとも人工的に作られ、匂いがなく魚に興味を示させるもの(製造中にセントが注入されるものはルアーではない)」として、1996年にレギュレーションに記載したように“ベイト”という表現を用いずフライ、ルアーを定義した。

 この定義を製作、また新規則導入を決定するにあたり、コロラドBASSフェデレーションがミーティングに参加し、その過程を見届けた。彼らも自然保護のためなら、と承諾したが、トーナメントが開催されるような水域は規模が大きいため、「フライとルアーのみ使用可能な水域」には入っていない。

+The Colorado Wildlife Commission

Posted by DODGE at 2006年01月16日 13:51 in 海外フィッシング事情

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