2006年01月11日

BASSがフェデレーション・ネイションを発表/BASS

 揺れに揺れ、揉めに揉めているESPN/BASSとBASSフェデレーションの関係に、ひとつの明るい兆しが見えた。フェデレーションを組織する個々の小さなチャプターをBASSの傘下組織とし、BASSは「フェデレーション・ネイション」たるプログラムを開始すると発表。地域的な自然保護活動やユース育成活動への資金提供、メンバー向けの特典を織り込んだ内容で、チャプターで構成された団体戦トーナメントなども開催していくという。しかし、この提示は意外と眉唾ものかもしれない!?

 BASSがフェデレーションに提示したのは、フェデレーション・ネイションと呼ばれる新プログラムで、各州のフェデレーションが活動を行なっていくために必要な資金をBASSが提供するといった画期的なものだ。
 これまで各フェデレーションが行なってきた事業(自然保護活動やユース育成活動、トーナメントサイト誘致や開催にあたっての根回し、その他の諸経費)は、すべて各フェデレーションが自腹をきっていた。BASSが定義するフェデレーションはバスアングラーのコミュニティー(集合体)であり、アマチュア組織(プロアングラーの組織ではないということ)。つまり、彼らが行なう事業はすべて“自由労働”であり、BASSが委託したり、強制したものではないのだ。ベイトフィッシュの放流事業、少年少女を迎えたバスボートからのトーナメント体験、地元公民館での釣り教室や環境保全の勉強会の開催や参加などは、すべて各フェデレーションが州内で集金した資金でまかなわれていた。毎年、6名のフェデレーションメンバーがCITGOバスマスター・クラシックに出場できるのは、これらの活動に対するBASSからのレスポンスなのだ。

 しかし昨年の暮れ、BASSはフェデレーション・メンバーシップの年会費を15ドルから20ドルに値上げすると一方的に通知。メンバーは「我々は自腹で地域的活動をしているが、逆にBASSは何もしてくれていない」と反論。たった5ドルの値上げだが、それを断固として許さなかった(BASSはフェデレーションのために、BASS Timesの発行やフェデレーション・チャンピオンシップの開催、運営など細かなことをたくさんしているが……)。
 州レベルの話し合いでは収拾や決着がつかないため、6名のリージョナル・リーダーが寄り合って、今後の対策を検討した(その間、FLW Outdoorsとも接触した)。するとBASSは「勝手にそんなことを話し合って、結託して『値上げを認めない』と全フェデレーションで決定するつもりなのか」と反論。話し合いに参加したリージョナル・リーダーをフェデレーション・メンバーから除名した(フェデレーションはThe Federation Inc.という会社を設立、運営していて、彼らが行なう事業はこの会社が基盤となってサポートしている。しかしBASSはTFIの存在や活動意義、方向性を認めていない)。
 これでメンバーたちはさらにヒートアップした。「我々を代表して話し合ったリーダーたちをクビにするとは、BASSは何様なんだ!?」となり、BASSからの離脱を視野に入れた。
 これに目をつけたのが、アーウィン・ジェイコブス率いるFLW Outdoorsである。「各地方には、着実に頑張っているアングラー集団が必要なんだ。FLWはフェデレーションの価値を認めている」と意思を表明。フェデレーションが活動していくために必要な経費を数100万ドル単位で出してもいいと公言したのだった。
 
 1月11日から3日間の日程でフロリダ州ハリスチェーンを舞台に開催されるフェデレーション・チャンピオンシップを前に、各フェデレーションのプレジデントがフロリダに集結。BASSのトップ陣営とミーティングを行なう予定だったのだが、その前日、彼らはFLW Outdoorsとも会合を持った。フェデレーションはFLW側から正式な金銭的提示があったと思われる。そしてその翌日、フェデレーションはBASSと会合。「フェデレーション・ネイション」の発表を受ける。

 フェデレーション・ネイション」に属するチャプターは、各州内で開催される団体戦トーナメントに参戦できる。各州で6名で構成される6チームを10あるリージョナル大会のひとつに送り込み、各リージョナル大会で選出された6チームがBASSフェデレーションネイション・バスクラブ・ワールドチャンピオンシップにクオリファイされる。優勝チームの各メンバーにはトライトンボートのフルリグが贈られる。
 また従来のフェデレーション・チャンピオンシップへのクオリファイ方式は抹消され、各州、各国の代表が1名ずつ直接チャンピオンシップへ出場する(以前は州大会→リージョナル大会→チャンピオンシップだった)。チャンピオンシップからは6名がクラシック出場枠を獲得。それらの6名は、次季ノーザンorサザンツアーへノーエントリーフィーで出場できる。

 上記が今回BASSが発表した大まかな内容だが、ここで思わぬ金銭的な問題が浮上した。フェデレーション・チャンピオンシップへの渡航費や宿泊費などの経費はBASSが支払うことになっているが、フェデレーションネイション・バスクラブ・ワールドチャンピオンシップについては明記されていない。つまり、メンバーたちが独自に捻出するほかないのだ。
 たとえば、ワールドチャンピオンシップはチーム大会であるため、選手がバラバラのシャツで出場するわけにはいかない。チーム(州orリージョン)で統一されたシャツを着るにしても、費用がかかる。また、マイボートを引っ張って参上するわけで、州によっては途方もない距離を移動し、ガソリン代、食事代、宿泊費などがかさみ、州間での不公平が生じる。これらの経費は以前と同様、フェデレーションが積立金を募ってまかなわれるはずだが、たった5ドルの年会費値上げを渋ったメンバーたちである。ボートが1艇もらえたとしても、さらなる出費を快く受け入れるとは到底思えない。したがって、一見よさそうに見えた「フェデレーション・ネイション」だったが、実はメンバーの負担は増える一方なのだ。

 ミーティングに参加した各フェデレーションのプレジデントは、BASSからの提示を検討する予定で、すべてを受け入れるか否かはいまだ発表されていない。最悪のケース、いくつかのフェデレーションがBASSを離脱し、FLW側からの提示を了承する可能性も秘めている。
 プレジデントはチャンピオンシップ開催中はフロリダに滞在する予定なので、ここ数日間でなんらかの動きがあるのではと予測される。

+Bassmaster.com

Posted by DODGE at 2006年01月11日 19:15 in 海外トーナメント:BASS, 海外フィッシング事情

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