単独国立公園となり30日で10年となる尾瀬では、貴重な自然環境を守るため、外来植物や有害鳥獣を駆除する取り組みの強化が急務となっている。
尾瀬保護財団は今秋にも福島県、檜枝岐村、ボランティアなどと連携した官民合同の外来植物対策チームを発足させ、駆除活動を始める。尾瀬の入り口に当たる檜枝岐村の352号国道沿いで外来植物が群生している場所を調査し、根を引き抜く除去作業を行う予定だ。
財団の担当者は「組織単体ではどこも人手が足りない。外来種対策の効果を上げるため、関係者が一体となった取り組みが必要だ」と強調する。
一方、県は今年度、南会津地区でのニホンジカ捕獲目標を従来の年間実績の2倍程度の560頭に設定した。昨年度策定した管理計画に基づく野生鳥獣対策で、檜枝岐村や南会津町、地元の猟友会と連携し、本県側で越冬している群れなどを中心に捕まえる。
関係機関が連携して対策を強める背景には、尾瀬国立公園で外来植物や有害鳥獣の脅威が年々、増している実態がある。
檜枝岐村の尾瀬国立公園への入り口に当たる小沢(こぞう)平周辺では今年、環境省指定の特定外来植物・オオハンゴンソウの群生が確認された。繁殖力が強く、公園内に広がれば、貴重な在来種が駆逐されかねない。大勢の登山客が出入りすると種が湿原に運ばれる可能性があり、水際対策が急がれている。
ニホンジカによる食害も後を絶たない。本県側の大江湿原では尾瀬が単独国立公園となった2007(平成19)年度以降、名物のニッコウキスゲの花芽が食い荒らされる被害が相次いでいる。林野庁は2014年度から、大江湿原を囲う防護柵を設置し、シカの侵入を防いでいる。近年は352号国道から尾瀬ケ原につながる燧裏林道にもシカが現れるようになった。林道沿いにはコバギボウシなどが咲く姫田代や上田代など貴重な湿原があり、被害の拡大が懸念されている。
檜枝岐村の関係者は「尾瀬の本県側にいなかったイノシシが昨年、村内の沼山峠周辺で確認された。鳥獣被害対策の強化は待ったなしだ」と語気を強める。