2017年05月09日

琵琶湖のアユどこへ消えたのか 「早くなんとか…」いらだち募らせる漁協関係者ら

 琵琶湖のアユがかつてない不漁に陥っている。昨秋には産卵量が平年値の倍以上観測され、豊漁が期待されたが、ふたを開けてみれば漁獲量は昨年の10分の1程度。滋賀県の調査で、気候の影響で成育が遅れているとみられることが分かったが、植物プランクトンの大量発生の影響も指摘され、原因の特定には至っていない。「早くなんとかしてほしい」。休業に追い込まれた漁師もおり、漁協関係者らはいらだちを募らせる。琵琶湖のアユはどこへ消えたのか。(江森梓)

 

「45年漁師をやっているけど、こんなことは初めて。最悪の事態や」

 大津市でアユ漁を営む竹端五十夫さん(62)はこう嘆く。船を出してもアユがほとんど取れないため、アユ漁を一時休業し、フナ漁に切り替えた。

 「隣の漁師はまだ続けているけど、取れても1回当たり1〜2キロ。船のガソリン代の方が高くついてしまっている。もうどうしようもない」

 県漁連によると、1〜3月の琵琶湖の活アユ漁獲量が1051キロで、昨年同時期(1万2377キロ)の10分の1以下だった。一方、県水産試験場が昨秋に琵琶湖周辺の主要な河川でアユの産卵状況を調べたところ、推計産卵数は平年値(106億粒)の倍以上の213・8億粒だった。このため一部関係者の間では、豊漁を期待する声も上がっていたのだが…。

 なぜこんな事態になったのか。同試験場は、アユの成育の遅れの可能性を指摘する。例年漁が本格化する1月から魚群の観測が伸びず、3月中旬に沿岸の水深30メートル地点で行った通常調査では、平年の3%程度の13群しか観測できず、過去最低だった。一方で、琵琶湖を東西に横断して沿岸と沖合をまんべんなく観測する調査では、昨年比1・2倍となる252群を観測した。アユは大きなものから沿岸部に移動して川へ遡上(そじょう)する習性があり、今年はアユの成育が遅れているため、沖合に偏って分布しているとみられるという。

 ほかにも気がかりな要因がある。外来植物プランクトン「ミクラステリアス ハーディ」の大量発生だ。オーストラリアやニュージーランドなどで生息が報告されているが、日本の湖沼ではめずらしい。県琵琶湖環境科学研究センターによると、琵琶湖では数年前から時々観察されるようになり、昨年11月から12月にかけては北湖中央部で前年の約10倍の量が観察された。

 このプランクトンは植物プランクトンの中でもかなり大きい部類で、アユの餌となる動物プランクトンのミジンコが餌とするには大きすぎるという。それが大量発生の結果、ミジンコの餌となる植物プランクトンが成育場所を奪われるなどして減少。その結果、ミジンコが繁殖せず、アユが減ったり成長が遅れたりする原因になっている可能性もあるという。

 ただ、アユの体長と体重から算出される「肥満度」は例年並みで、単純に外来プランクトンの大量発生でアユの餌が不足したとは言い切れない。アユ不漁の原因はいまだ詳しく解明されず、対策もままならない状況だ。

 「このままでは、琵琶湖の漁業が壊滅してしまう」「もはや完全に琵琶湖の生態系が狂ってしまったのではないか」

 3月末に県が開いた緊急対策会議では、漁協関係者から次々と不安の声が上がった。県は原因究明に向けて今後も調査を続けた上で、人工河川への養殖魚の放流などの対策に乗り出す方針だという。

+Yahoo!ニュース-国内-産経新聞

Posted by jun at 2017年05月09日 12:04 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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