絶滅が心配されるニホンウナギに代わる味覚として、近畿大が開発した「ウナギ味のナマズ」。年明け早々にも、関東と関西の一部の料理店などで、まず、かば焼きで登場する予定だ。近畿大関係者は、いずれ刺し身や鍋の具でも味わってもらいたいと意気込んでいる。
ウナギ味のナマズの開発に取り組んだのは、近畿大農学部の有路(ありじ)昌彦准教授らだ。2009年、ウナギ養殖業者が困っていることを知り、代わりになる淡水魚の研究に着手。「ドジョウ、フナからライギョ、ブルーギルまで、片っ端からかば焼きにして食べた」という。
その結果、焼いた皮の香りがウナギに似ていることや、養殖のしやすさなどからナマズを使うことにした。しかし、大きな課題が二つあった。一つは、身から汚れた川のようなにおいがすることだった。
全国約20か所からナマズを仕入れ、胃の内容物を調べたり、食べ比べたりしたところ、においの少ないナマズは稚アユやスジエビなどを食べていることが判明。一方、においの強いナマズの胃からは、アメリカザリガニが多く出てきたという。
養殖ナマズにも違いがあり、川の水より井戸水で育てたものの方が臭みが少なかった。有路准教授は、餌と水の工夫次第で臭みがなくなることに気付いた。
もう一つの課題は、本来、淡泊で脂が少ないナマズに、どうやってウナギのような脂の乗りを実現するか。タイやハマチなど様々な養殖魚の餌約300種類の成分を分析し、ナマズに与える餌の種類やタイミングを変えては、かば焼きにして食べることを繰り返し、理想の味を追求した。
◇脂の乗り具合は?
昨年8月、鹿児島県の養殖場で、本格的な実証実験をスタート。厳選した餌を与えたナマズを地下水で育て、狙い通り、臭みのない身に仕上げた。有路准教授は「ナマズは脂が多過ぎてもおいしくない。ウナギの良さ6割、ナマズならではの風味4割という感じにした」と説明する。
実際、試食してみると、尾の部分の食感はウナギと区別できず、皮のあたりは脂の乗り方もそっくり。一方、頭の部分は淡泊な白身魚に近い風味だった。胴の部分は脂の乗りが中程度だが、身が分厚く、食べ応えがあった。
有路准教授によると、現在は年約100トンの生産体制だが、すでに全国から数千トン単位で注文が相次いでいるという。今後、養殖場をフランチャイズ化するなどして増産する予定だ。有路准教授は「お客さんへの提供価格は当面、1人前2000円前後の見通しだが、最終的には、生産、流通体制を整え、ワンコインの500円まで下げたい」と話している。(読売新聞 萩原隆史)
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Posted by jun at 2015年12月28日 10:43 in 魚&水棲生物