オオミズナギドリの世界最大の営巣地・御蔵島で野ネコが増え、鳥が激減している。年2万羽ペースの減少で、ネコの不妊手術くらいでは歯止めがかからない。御蔵島村では野ネコを捕獲し、都獣医師会が島外で飼い主探しを始めることになった。
都心から南へ約200キロの御蔵島。面積20平方キロ、最高標高は851メートルあり、原生林が広がる。オオミズナギドリは3月ごろに飛来し、森の地面に巣穴を掘って子育てする。夜明け前に一斉に海へ向かい、夕暮れに戻る光景は壮観だ。11月初旬から島を離れて赤道海域へ向かう。
1978年の都の調査では推定350万〜175万羽だったが、2007年に88万羽、12年には77万羽まで減ってしまった。
原因は野ネコだ。人口約300人の島に500匹以上。人が入れない奥深い森が広がり、もっと多い可能性が高い。飼いネコが野生化して増えてしまった。希少種のミクラミヤマクワガタも捕食されている。
オオミズナギドリの調査で長年、御蔵島に通う山階鳥類研究所の岡奈理子上席研究員は「90年代初めまでは、ヒナがいる巣穴はすぐ見つかったのに今は空の巣穴が非常に多い。オオミズナギドリの生態研究も難しくなった」という。
目にするのはネコに襲われた親鳥や幼鳥の姿だ。巣穴から引っ張り出されたヒナの死骸もある。ネコのふんから羽毛もみつかる。
「ネコ対策をしなくては」。05年10月、ネコを捕まえて村役場に持ち込んだ。これを機に村は捕獲を始め、10年間で約400匹に不妊手術をした。ただ術後は森へ戻すので、鳥の被害は減らせない。
ネコを島外へ出そうと山階鳥研は飼い主探しを試み、今年2月から13匹を出した。10月には、都獣医師会の協力が決まった。動物病院でひきとって健康な状態にし、人にも慣れさせて飼い主へ紹介する予定だ。
小松泰史副会長は「殺さないことと、自然環境を守ることを両立させたい」と話す。同会は小笠原の野ネコの飼い主探しを約10年続けてきた実績がある。
御蔵島は港が小さく、船の欠航も多い。捕獲したネコを一時的に飼育する小屋も11月に作った。まずは月1匹のペースで始めて、増やしていく計画だ。
岡さんは「野ネコが増える速度に持ち出しが追いつかなくては。オオミズナギドリの世界最大の繁殖地を守れるか総合力が試されている」と話す。
Posted by jun at 2015年12月21日 08:16 in 外来生物問題