荒川、利根川、中川水系など県内の多くの河川や沼などの水辺に、外来種のカワリヌマエビ属が侵入し、在来種のヌカエビは駆逐される傾向であることが、県環境科学国際センター自然環境担当主任専門員の金沢光さん(61)の実地調査で分かった。金沢さんは生態系への影響を懸念して「未来の脅威として観察調査を続ける必要があり、各地の市民団体の力を借りたい。侵入を防ぐ法的措置も急務だ」と訴えている。
■土日返上で踏査
増えているのは西日本にいたミナミヌマエビや、観賞用や釣り餌用に輸入された中国原産のシナヌマエビなどのカワリヌマエビ属。在来種がいなかった劣悪な環境で大量繁殖しているケースもあった。ペットが放流された可能性もあるという。在来種はヌマエビ科のヌカエビ。ともに体長は約3センチで、額のツノに生えたトゲの数で見分ける。
金沢さんは町おこし事業「清流ルネッサンス」で行った本庄市の元小山川(利根川水系)の生物調査で、在来種のヌカエビとは違うエビの「驚異的な増殖」を発見したことから、全県調査を2014年11月15日から始めた。
県内全域を土日返上で踏査。手持ちの丸網ですくい取り、1カ所で約30匹を持ち帰り、顕微鏡で額の上のとげの数を数える根気のいる作業を繰り返した。
■全域侵入を確認
12月30日までの調査結果を「水環境学会誌」2月号に中間発表。その後も調査を続け、今年3月24日までに、外来種が県内全域の水域に侵入している実態が分かり、29日に朝霞市内で講演し発表した。
カワリヌマエビ属が占める割合は、皆野町の荒川、飯能市の入間川、坂戸市の越辺川、ときがわ町の都幾川、所沢市の柳瀬川、越谷市の古利根川、幸手市の中川、見沼代用水などで、ほとんど100%だった。熊谷市の荒川は83%、上里町の神流川は62%。一方、支流の落合川にいるのに下流の黒目川(朝霞市)にいないなど「謎」も残った。
埼玉県内全域に外来エビ 生態系への影響懸念
(上)熊谷市の元荒川で採取された在来種のヌカエビ(下)皆野町の荒川で採取された外来種のカワリヌマエビ属(いずれも金沢さん提供)
■エイリアン
餌を与えないで生存できる日数を調べる「飢餓生存実験」では、荒川産のヌカエビは67日間で全滅したが、新河岸川産は90日間以上生存しており、生命力が強かった。卵を食べられたりすることで、外来種にヌカエビが駆逐された可能性がある。
映画「エイリアン」のように急激に増えると、魚の卵や稚魚が食べられる被害も心配される。生活排水が流れ込む場所や水草のない、これまでヌカエビがいない場所に大群で生息するケースもある。
金沢さんは対策について「外来種の放流は絶対にやめるべきだ。おいしいので、見つけたら捕まえて食べて駆逐してほしい」と訴えている。
Posted by jun at 2015年04月04日 12:37 in 外来生物問題