熊本県荒尾市で3日に雌のアライグマ1頭が捕獲されたことを受け、県は「生息域拡大の恐れがある」として、県北地域で捕獲態勢を強化する一方、県民に目撃情報の提供を呼びかけている。北米原産のアライグマは愛らしい姿から1970年代にペットとして多数輸入されたが、一部が野生化して農作物を食い荒らすなど全国で被害が多発。生態系や人に危害を及ぼす可能性もあるため、国は防除対象の「特定外来生物」に指定している。九州では福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎の5県で生息が確認されていたが、県内で捕獲されたのは今回が初めてだった。【松田栄二郎】
◇県、目撃情報求める
捕獲されたアライグマは成獣。県の生息捕獲調査事業で補助を受けた荒尾市が昨年12月から市内6カ所に箱わなを設置、このうち同市平山のため池近くのわなに掛かった。その後、市が防除実施計画に基づき殺処分した。
県などによると、アライグマは顔がタヌキに似ているが、長くてしま模様のしっぽが特徴。70年代に放送されたテレビアニメ「あらいぐまラスカル」で人気となって輸入されたが、気性が荒く飼育が難しいため捨てられたり、飼育中に逃げたりして野生化したとみられる。
各地で農作物被害が相次いでおり、2012年度の全国の被害額は3億3300万円に上る。雑食のため養殖魚や養鶏が襲われたり、北海道で絶滅危惧種であるニホンザリガニの捕食が確認されたりしたこともある。
県内では熊本市と御船町で10、12年に計3回、目撃されていたが、その後に目撃情報がないため、いずれも近くで逃げ出したペットだったとみられる。
しかし、今回捕獲された荒尾市は、毎年数頭が捕獲されて生息域とみられる福岡県八女市に近く、県境を越えて生息域が拡大している可能性があるという。
更に県が危機感を募らせるのは、その繁殖力の強さだ。出産期は春で一度に3〜6頭を産むが、国内には天敵がいないため急速に個体数を増やしている。
また寄生虫の「アライグマ回虫」が人の口に入ると中枢神経障害の原因となり、死亡する可能性もあるという。
県内では今年度、荒尾、熊本両市、山都町など11市町が県の補助を受けて捕獲用わなを設置している。3月からは県内への侵入を防ぐため県北の自治体職員を対象に捕獲技術を指導する予定。
また、県のホームページやパンフレットで目撃情報などの提供を呼びかける。県自然保護課は「初期対応が重要。有力情報が寄せられた地域で捕獲に努めたい」としている。
Posted by jun at 2014年02月25日 15:55 in 外来生物問題