琵琶湖で釣ったブラックバスなどの外来魚のリリース(再放流)を禁止した県の「琵琶湖レジャー利用適正化条例」施行から今春、丸10年を迎えた。当初は実効性や釣り人の権利を巡り全国的な論議を呼んだが、外来魚の回収量は増加傾向で、県は「ルールが定着した」と評価する。ただ、本来の目的だった在来魚の回復は、期待ほど進んでいないのが実情だ。【千葉紀和】
条例が施行されたのは2003年4月。きっかけは在来魚の減少だ。1950年代に1万トン近くあった漁獲量は、01年には5分の1まで低迷した。県は北米原産のバスやブルーギルによる食害の影響が大きいとみて、釣った外来魚の再放流を禁止。湖岸一円に回収ボックス(現在71基)やいけす(同29基)を設置した。
だが、条例はバス釣り愛好家の大きな反発を招いた。そもそも愛好家の間では、釣った魚を生きたまま湖に戻す「キャッチ・アンド・リリース」が基本。罰則は設けなかったが、「強制は権利侵害」と反発した愛好家らが県を提訴する事態にまで発展した。在来魚の減少は湖岸整備でヨシ群落が激減したためだと、条例の実効性を疑う声も上がった。
施行後の外来魚の回収量は04年度の40・4トンをピークに次第に減り、昨年度は18・9トンだった。ただ、当初の5年間はリリース禁止を普及させるため、回収した外来魚を金券と引き換えており、この分を除くと、03年度の9・6トンからほぼ毎年伸びている計算になる。
一方、県は02年から漁師に補助金を出すなど外来魚の駆除を本格化。リリース禁止に伴う回収量を大幅に上回る毎年300トン以上を駆除している。外来魚の推定生息量は11年に算出方法を変えたため単純比較できないが、県は02年の3000トンから11年は1330トンまで減ったとみている。
それでも条例が、生態系の回復につながっているとは言い難い。在来魚の漁獲量は11年度約1000トンで過去最低を更新した。産卵場なども整備しているが、琵琶湖特産のホンモロコやニゴロブナも漁獲量は落ち込んだままだ。県水産課は「在来魚の生息数は回復傾向にあっても漁獲量には表れにくい」と強調するが、専門家からはヨシ群落の減少や、琵琶湖の水位操作で水面が下がり稚魚や卵が生き延びにくいといった要因を指摘する声もある。
条例を担当する県琵琶湖レジャー対策室は「条例施行後10年で生態系を守るルールの意義は理解されてきた。今後も息長く続けていきたい」としている。5月30日朝刊