◇三木で活動のクラブ、人工池作り危惧種保護
近い将来、絶滅の恐れが極めて高いとして、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧1A類に指定されている「ニッポンバラタナゴ」。全国でも数少ない生息地として知られる県内では、絶滅を防ごうと、「かがわタナゴ倶楽部」(三木町)が人工池を作り保護活動に力を入れている。代表の伊藤英夫さん(66)は「我々の世代で絶滅させてはいけない。後世にも生態系を保護する重要性を伝えていきたい」と話している。【鈴木理之】
ニッポンバラタナゴは、コイ科の淡水魚で、かつては大阪府以西の河川やため池などに広く分布していた。しかし、1920年代ごろから琵琶湖(滋賀県)のアユを全国各地の河川に放流するなどした際、すでに琵琶湖で広くすんでいた繁殖力の強い中国原産の亜種、タイリクバラタナゴも侵入。交雑が進むなどして、ニッポンバラタナゴの生息数は減少したとされる。ブルーギルなど外来種による捕食もあり、絶滅に追い込まれた地域もある。
現在は、香川県のほか大阪府、九州北部で生息が確認されるだけ。県内でも十数カ所のため池で確認されるのみとなり、河川ではほとんど姿が見られなくなった。
このような状況を前に、生態調査に関わるなど関心を持っていた元県職員の伊藤さんらが05年に同クラブを設立し、本格的な保護活動に取り組み始めた。メンバーは08年、三木町の山間部にある休耕田跡にため池(縦約15メートル、横約5メートル)を造り、ニッポンバラタナゴの保護池とした。
保護池では、捕獲した池ごとに個体を区別して飼育。ニッポンバラタナゴは二枚貝であるドブガイの中に産卵するため、繁殖は容易ではないが、ドブガイを専用の池で育成するなどして環境を整え、今では14の保護池で計数千匹が生息する。
香川の個体については、遺伝子のDNAを分析した結果、関西の個体群とは異なるDNA配列を有していることが分かっている。伊藤さんは「閉鎖されたため池という特殊な環境で、独自の進化を遂げている可能性もある。池ごとに分けて保護することが必要」と取り組みの意義を強調する。
同クラブでは、ニッポンバラタナゴの保護にとどまらず、小学生らを対象とした自然教室も定期的に開催している。伊藤さんは「商業価値のない魚は無視され、いつの間にか絶滅寸前まで追い込まれていた。ニッポンバラタナゴの事例を紹介することで、環境保護の重要性を伝えたい」と話す。8月13日朝刊