水槽の中で泳ぐ約80匹のコイ科の魚シナイモツゴ。その水槽の中にもう一つ小さな水槽があり、そっくりな姿をした3匹のモツゴが泳いでいた。場所は新潟市水族館マリンピア日本海(中央区)。両者が自然界の中で一緒になると、いつの間にかシナイモツゴが消え、モツゴだけになるという。今や絶滅の恐れが極めて高い環境省レッドリスト絶滅危惧1A類になったシナイモツゴ。減少原因の一つに無秩序放流がある。
「モツゴの雄はモテるんですよ」と話すのは、同館の石川訓子飼育員。シナイモツゴの雌はモツゴの雄がいると、シナイモツゴには目もくれずモツゴの雄と“結婚”。その結果、シナイモツゴは子孫が残せず、シナイモツゴとモツゴの間にできた子供も繁殖能力がないため、残るのはモツゴだけになるという。
自然界の中では、両者の生息環境が違い、こうした交雑は起こりにくい。ところが、人間が介在するとバランスが崩れる。「モツゴを採ってきた人が近くの川や池に放したとき、そこがシナイモツゴの生息地だとしたら、そこのシナイモツゴは絶滅してしまう」と石川さん。
ブラックバスを釣り目的に密放流するのも無秩序放流なら、こうした悪意のない放流も生態系を狂わす無秩序放流になる。
マリンピアでは日本産希少淡水魚繁殖検討委員会の設立20周年記念事業として、全国54水族館・動物園との一斉企画展「明日へつなぐ日本の自然−よみがえれ、日本の希少淡水魚」を29日まで開催中だ。同委員会の繁殖対象種で、同館が種別調整館になっているシナイモツゴと繁殖登録をしているホトケドジョウに加え、関連展示として絶滅危惧2類になってしまったメダカとモツゴが展示されている。
石川さんは「どんな魚も飼い始めたら最後まで飼うことが大事。飼えない場合でも安易に放さず、必ず採ってきた川や池に戻してほしい」と訴えている。
Posted by jun at 2012年02月23日 16:35 in 魚&水棲生物, 自然環境関連