2012年01月04日

治水・環境など正念場 滋賀県、2012年行政展望

 今年は嘉田由紀子知事がマニフェスト(公約集)に掲げる「住み心地日本一の滋賀」の行方を左右する1年になりそうだ。嘉田知事は治水対策や福祉・医療、環境などの分野で独自色を打ち出すが、自民党県議団や一部首長が批判を強めているため、県政が停滞する可能性もある。関西広域連合として取り組む地域主権改革も正念場を迎える。政策に理解を得るための粘り強い説明とリーダーシップの発揮が求められる。

 嘉田知事は今夏で2期目の折り返し点に差しかかるが、自民が過半数を獲得した昨春の県議選後は議会運営が厳しい状況にある。昨年11月議会に満を持して提出した看板政策の流域治水基本方針案は自民の意向で継続審議となった。浸水想定地域での土地利用や建築の規制など「川の外」の対策も重視する新たな治水の概念だが、自民や一部首長は慎重な議論を求めている。自民は同9月議会で一般会計補正予算案を修正した。自民は「県は議案を出す前にもっとわれわれの意見を聞き、政策に反映するべきだ」(ベテラン県議)と主張する。嘉田知事は「誠意を尽くしたい」と粘り強く理解を求める考えを示すが、今年も自民や一部首長との対立関係は続きそうだ。
 二元代表制の下、首長は議会の声を十分に聞く必要があるのは当然だが、県議会も県の政策に異論を唱えるだけでなく、対案を示すことが求められる。今年から実践段階に入る議会改革の成果にも注目が集まる。
 福島第1原発事故を踏まえた地域防災計画の見直し作業も大詰めを迎える。独自の放射性物質拡散予測データを生かし、いかに実効性を担保できる計画に仕上げるか。原子力防災対策を国が義務付ける圏域が原発の半径10キロから同30キロに広がれば、滋賀県も原発防災の当事者になる。関西電力との安全協定締結協議の成否は原発立地県並みの権限を確保できるかが焦点となる。
 12年度当初予算案は前年度に続き、働く場への橋架け、琵琶湖の再生など八つの重点テーマを設定する。中でも産業振興は待ったなしの課題と言える。滋賀経済を支える製造業は円高やグローバル化、電力不安などに苦しみ、昨年10月の有効求人倍率は10カ月ぶりに0・6倍を割り込んだ。県内の延べ観光客は10年まで3年連続で減少した。12年度中の制定を目指す中小企業振興条例は、理念だけでなく、即効性が高い政策推進につながる内容が求められる。
 多様な政策を実行するためには行財政改革のスピードを上げる必要がある。一般会計の借金残高は11年度中に1兆円を突破した。残り60億円の財政調整基金は12年度でほぼ底をつくおそれもある。県有地売却や赤字事業の整理などを進めるうえで、県民の痛みを伴う改革も避けられない。
 設立2年目に入った関西広域連合は、国出先機関の受け皿に位置づけているが、地域主権改革の先行きはまだ見通せない。府県の壁が消える道州制につながるとの懸念から、参加府県の議会や市町村の中にも広域連合の権限拡大に反対する意見が多い。広域連合の国出先機関対策委員長を務める嘉田知事は、出先機関改革の具体的なメリットとデメリットを提示すべき時期に差しかかっている。

+Yahoo!ニュース-滋賀-京都新聞

Posted by jun at 2012年01月04日 12:27 in 内水面行政関連

mark-aa.jpg