2011年12月24日

語り継ぐ淀川 大阪で真珠を養殖しよう 野満沢美さん

 ■大阪で真珠を養殖しよう
 「ほら、こんなきれいな真珠が、大阪の川から生まれたんですよ」 手のひらにそっと置かれた淡水真珠は、色も形も大きさもさまざま。野満沢美さんは、慈しむように真珠を見つめた。

 少しピンクがかった愛らしいものから、グレーの大人っぽいものまで。真円ではなく、それぞれ個性的な形をしているのが、大阪っぽい。

 11月下旬、大阪・桜ノ宮に近い大川(旧淀川)で4年前に真珠養殖のために沈められていたイケチョウガイが引き上げられ、「大川桜真珠 開貝式」が行われた。

 野満さんは大川での真珠養殖を企画・主催しているNPO法人「大阪・水かいどう808」のスタッフ。初めて道頓堀川で真珠養殖をスタートさせた平成15年から、イケチョウガイのメンテナンスを行い、成長を見守ってきた。

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 大阪で真珠を養殖しよう−。この夢のある企画は、「大阪・水かいどう808」の須知裕曠(やすひろ)理事長の発案。琵琶湖水系や淀川水系に生息するイケチョウガイが、水中の窒素やリンを取り込んだ植物性プランクトンなどを食べ、真珠をつくりながら、1日に約200リットルもの水を浄化することを知り、大阪の汚れた河川の浄化に役立てたいと考えた。

 そこで、イケチョウガイの真珠養殖を行っている琵琶湖の業者の協力を得て、8年前から大阪でイケチョウガイの淡水真珠養殖に取り組んできた。

 ユニークなのは、全国からサポーターと呼ばれるイケチョウガイのオーナーを1口8080円で募集したこと。「ですから私たちは、オーナーのみなさんから預かったイケチョウガイの世話をしているということなんです」と野満さん。

 須知理事長は「イケチョウガイだけで川がきれいになるかというと、そうではない」という。「でも、自分の貝がこの川の中で生きている、ゆっくりと真珠を育んでいる、と思うと、川自体に関心がいく。そこが大事だと思うんです」

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 熊本県出身の野満さんは、専門学校に入るため、18歳で大阪にやってきた。

 自然がいっぱいの熊本で生まれ育った野満さんにとって、大阪市内を流れる川は「汚くて、においもきつかった」。川に特別な興味も持たなかった。

 ところが、河川の浄化や大阪淀川市民マラソンなどさまざまなイベントを行っている須知さんと出会い、事務局で仕事を始めるうち、大阪の河川への興味がわくようになった。

 そのきっかけのひとつが真珠の養殖。「初めて道頓堀川に貝を沈めたとき、わたしもサポーターになったんです」

 自分で貝の口を開き、なかから出てきた真珠を見たときは胸がいっぱいになったという。

 いま、全国でサポーターは約150人。なかには開貝式に来ることができない人もいる。野満さんらスタッフは、そんなサポーターのために川から引き上げた貝を大切にくるんで宅急便で送っている。

 「せっかく4年間待っていただいたのですから、素敵な真珠が育っていることを祈って送っています」(亀岡典子)

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【メモ】イケチョウガイ

 イシガイ科の大型二枚貝。もともと琵琶湖と淀川の一部など淡水に生息していた固有種で、大きさ20センチ、厚み10センチ以上に達するものもある。殻は波状のしわを持つ黒色の光沢ある殻皮でおおわれている。淡水真珠の養殖の母貝としても知られているが、現在は絶滅危惧種として環境庁のレッドリストに載っている。

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Posted by jun at 2011年12月24日 16:56 in 魚&水棲生物

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