国が瀬田川洗堰(大津市)で行っている琵琶湖の水位操作について、関西広域連合が生態系や環境に配慮した独自基準の条例化を検討していることが20日分かった。滋賀県が中心となって12年度中の独自基準案策定を目指す。国からの権限移譲実現に向けた広域連合の受け皿整備の一環で、地域主権改革の突破口に位置づける。
琵琶湖の水位は1905(明治38年)の南郷洗堰完成以来、国が管理しているが、条例化が実現すれば、琵琶湖の治水政策が転換する可能性がある。広域連合にとって政策実行のための条例制定は初めてとなる見通しで、「新たな条例案は、関係法令と整合性を図りながら提案が可能か検討する」(事務局)としている。
琵琶湖の水位は、国が92年に制定した操作規則に基づき人工的に調節している。滋賀県によると、琵琶湖は下流の洪水を防ぐ役割があるが、近年は水位の低下傾向が鮮明で、魚卵や稚魚の死滅、ヨシ帯の減少、水草の異常繁殖につながっていることが近年の研究で判明している。
県は独自基準案で、下流の治水リスクを高めない範囲で洪水期も水位を一定水準まで高く保つ考え方を打ち出す。近年は情報技術の進歩で雨量予測の精度が向上しているため、現行基準よりも柔軟で、きめ細かい水位操作の可能性を探る。
操作規則制定後の平均値によると、琵琶湖の水位は6月中旬に現行基準の通りマイナス20センチ近くまで下がった後、9〜12月はマイナス40〜50センチで推移している。7〜12月は規則制定前に比べ20センチ前後低い。夏場に水位が下がると湖底に光が届きやすくなるため、水草が異常繁殖する要因になっているという。県は「国は洪水を想定しているが10、11月の実際の雨量は少なく、近年は水位が低すぎる」としている。
水位操作をめぐって県は国と定期的に協議している。国は2003年度から5、6月には生態系に配慮した操作を試行しているが、漁業関係者や環境の専門家は対策が不十分と指摘している。
【瀬田川洗堰操作規則】 夏と秋の洪水期は大雨に備えて琵琶湖の水位を低く設定する。6月16日〜8月31はマイナス20センチ、9月1日〜10月15日は同30センチを基準に調節する。非洪水期の10月16日〜翌年6月15日はプラス30センチとする。1992年の制定後、基本的な内容は見直されていない。