日本古来の「在来型」のDNA配列を持つコイの割合が琵琶湖の深い水域では8割以上にのぼり、国内で突出して高いことが東京大の研究チームの調査で分かった。国内では養殖用に輸入された海外由来のコイが増える中、琵琶湖深部では多くの在来型が生息する可能性が高く、研究者は「コイの保全上、琵琶湖は非常に重要」と指摘する。
国内のコイは日本古来の「在来型」、ユーラシア大陸由来の「導入型」の系統に大きく分かれる。東京大大気海洋研究所の馬渕浩司助教(40)=彦根市出身=の研究チームは、コイのミトコンドリアDNAの塩基配列を解析。在来型、導入型の特徴的な配列を持つ個体の割合を調べた。
琵琶湖では県水産試験場や沖島漁協の協力で計856匹を調べ、在来型の特徴を持つコイは65%だった。南湖沿岸では32%だったが、深さ27〜75メートルの水域で行った沖曳網(おきびきあみ)や湖北沿岸は80〜86%に達した。各地では茨城県霞ケ浦16%、高知県四万十川42%、岡山県児島湖54%と、調査した十数カ所すべてで6割以下だった。
琵琶湖で割合が高い要因には、水深の深い領域が広いことが考えられるという。同じ湖北でも急に水深20メートル以上となる3地点では平均97%だったが、遠浅の3地点では77%で、水深が深いほど在来型が多いことが伺えた。
在来型は深場でも生息できるように気道弁が発達しているとの文献もあり、馬渕助教は「養殖放流された導入型のコイが経験したことのない深場に行けないとすると、琵琶湖深部には純粋な在来型が多く残っている可能性が高い」と指摘。今後、両型の繁殖や交雑の状況を調べる。
【コイの在来型と導入型】 一般的に在来型は体高が低くて細長い円筒形。警戒心が強く飼育が難しい。マゴイと言われる。導入型は体高が高くて側扁(そくへん)が著しい。明治以降に養殖用や交雑育種の親として盛んに利用され、各地に放流された。ヤマトゴイと呼ばれている。