滋賀県は8日、福井県若狭湾での原発事故を想定し、2012年度から放射性物質の拡散と沈降による琵琶湖への影響を予測する解析技術の開発に乗りだす方針を明らかにした。放射性物質が琵琶湖に飛散、流入した場合、中長期的に水質や生態系がどのように変化するかを把握できる体制づくりを目指す。
近畿1400万人の水源を守るため、県独自の大気の放射性物質拡散予測システムと合わせて、有効な対策の立案と事故時の素早い対応につなげる。県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)の水質汚濁調査システムを応用するほか、本年度に採用した原子力専門職員の知見を役立てる。放射性物質の湖沼への影響を予測するシステムは世界的にも珍しい。
広範囲に飛散する放射性セシウムを対象に調査する。雨による降下と河川からの流入状況をはじめ、湖の中をどのように移動し、湖底にたまるかなどについて湖水の流れを踏まえて予測する。
セシウムは半減期が長いうえ、琵琶湖の水域は閉鎖的で、最深部も100メートルを超えることから影響が長期化する可能性がある。このため周辺の河川や水路を含めた一体的な地域を対象に、水質や魚類など生物への影響を調査・研究する。
琵琶湖では過去に放射性物質の被害が出ていないため、福島第1原発事故を受けて水質調査を始めている国立環境研究所(茨城県つくば市)や福島県にも協力を要請する。
県議会の一般質問で答弁した嘉田由紀子知事は「県民の安全・安心を確かなものとするため実効ある原子力災害対策に取り組みたい」と述べた。