◇土手の巣穴から水、土砂押し流す 県伊豆沼・内沼環境保全財団の芦澤さん確認
アメリカザリガニがため池の土手の内壁に巣穴を掘り、土手の崩落を招いた事例を県伊豆沼・内沼環境保全財団(栗原市)が確認した。田のあぜばかりでなくため池の土手も崩す威力に、同財団は改めてアメリカザリガニの駆除の必要性を訴えている。
崩落したため池は栗原市築館にある。10年12月6日、同財団臨時職員の芦澤淳さん(26)=外来生物学専攻=が水質調査に出向いたところ、土手が長さ8メートル、高さ2メートル、幅1・5メートルにわたり崩れ落ちていた。崩落土砂量は約24立方メートルとみられる。
崩落部の水際部分でアメリカザリガニが開けた十数カ所の巣穴を発見。同財団で検討した結果、巣穴の1、2カ所からしみ出した水が土手内部の土砂を少しずつ押し流して空洞を作り、それが拡大して天井部が崩落したと判断した。崩落まで数年経過したとみている。
アメリカザリガニは越冬や産卵のため巣穴を掘る。巣穴は直径5センチ、長さ20〜40センチ程度。土手の規模と比べると小さいが、「ザリガニの一穴」が土手崩落につながることが明らかになったのは極めて珍しい。
このため池はかんがいの役目を終えており、周辺の農業には影響ないという。芦澤さんは「不耕作地の拡大に伴い、放置ため池も多くなると見込まれ、同様の崩落が続く可能性は否定できない」と指摘する。
アメリカザリガニは1930年に養殖ウシガエルの餌として米国から神奈川県鎌倉市に持ち込まれた後、全国に広がったという。水草から小動物まで餌にするため生態系に悪影響をもたらすとして、環境省は「要注意外来生物」に分類。水田地帯では巣穴が広がって崩れたあぜの修理が春先の農家の作業になっている。芦澤さんは、ため池崩落についていずれ生物・環境関係の学会で発表する予定だ。【小原博人】1月27日朝刊