特定外来生物に指定され、農作物などに被害をもたらすこともあるアライグマについて、県は被害を未然に防ごうと、来月から県北東部を中心に生息実態調査や啓発活動に乗り出す。県内では捕獲頭数はまだ少ないものの、隣接する香川県では増加が顕著。生息自体がまだ知られていないことも捕獲数が少ない一因とみられ、被害があっても“犯人”を別の動物と誤認し、被害を広げてしまう恐れもあるという。【深尾昭寛】
◇県内での生息啓発も
鳴門市大麻町池谷の阿波神社では昨年6月ごろ、拝殿の天井裏にアライグマがいることが確認された。駆除した今も、建物の柱やよろい戸につめ跡が生々しく残る。昼夜を問わず動き回る音を聞いた能田諭宮司(72)は「何かいるとは思っていたが、アライグマとは」と驚いたという。
県北東部を管轄する県東部農林水産局によると、これまでの目撃情報や捕獲は鳴門市周辺が中心だった。09年8月には、吉野川市で雌1匹が捕獲され、出産経験があることも判明。同年12月には佐那河内村の農家納屋でつめ跡が見つかった。
それでも県内の捕獲数は07年度に23頭を記録して以降、08年度5頭、09年度4頭、10年度(今月12日現在)は5頭にとどまる。しかし、香川県では対策を強化したこともあり、06年度までの20頭以下から、10年度は8月末までの5カ月間で181頭と「爆発的に増えている」状況だ。
アライグマは本来、北米に生息する。特定外来生物の飼育や輸入などを原則禁止とする外来生物法の施行(05年)までに持ち込まれ、全国で生息域を広げた。雑食性で農作物を食い荒らす一方、木造建造物をすみかにすることも多く、全国では寺社の国宝や重要文化財にアライグマによるとみられる被害が出ている。水辺を好むことから、吉野川流域周辺で被害が出ることも予想されるという。
同局が来月から始める生息実態調査は、業者に依頼して9月まで続け、捕獲も実施する。また、主に農家や寺社を対象に啓発も兼ねた聞き取り調査をし、被害の現状なども調べることにしている。同局は「定着して被害が拡大してからでは、対策にばく大な経費と労力がかかる。そうならないよう予防に努めたい」としている。アライグマはしま模様のしっぽが特徴。情報提供は同局(088・626・8583)へ。1月16日朝刊