外来生物法で栽培や運搬などが禁止されている特定外来生物のオオキンケイギク(キク科)やナルトサワギク(通称コウベギク、同科)が県内で急激に分布を広げている。和歌山県紀南地方の道路沿いや公園、空き地などでも繁殖しており、在来種を駆逐する勢い。県は「一般の人が知らずに分布を広げている可能性がある。きれいだからといって絶対に持ち帰らないように」と注意を呼び掛けている。
オオキンケイギクは北アメリカ原産。荒れ地でよく育つことから、以前は道路のり面などの環境緑化用の材料、花壇や鉢植えの観賞用として使われていた。高さ30〜70センチになり、直径5〜7センチの黄色い花を5〜7月に咲かせる。田辺市やその周辺では、数年前から増え始め、会津川沿いの斜面では鮮やかな黄色一色になっている。国道42号バイパス、国道311号、県道沿いなどでも点在して咲いており、一般家庭の庭でも目立つようになってきた。
ナルトサワギクはマダガスカル原産。高さ30〜70センチになり、直径2センチほどの黄色い花を一年中咲かせる。日本では徳島県鳴門市で1976年に初確認された。和歌山県では十数年前に初確認され、紀南地方では数年前から道路沿いや造成地などで急速に生育範囲を広げている。特に白浜町の空港周辺の造成地で多く、近くの住民は「ここ数年で一気に増えた。庭に入ってきたものは処分しているが、切りがない」と話している。生態系への影響以外に、牛や馬などの家畜にとっても食べると有害だという。
県自然環境室によると、特定外来生物の取り扱いについて、アライグマなど農作物に被害のある動物は積極的に駆除しているが、植物については種類と数が多く、道路や河川で除草する場合に一緒に処分している。大型工事の緑化に使用する植物は地元で採集したもの、それが難しければ栽培した近隣の郷土種を植えるように指導している。国内でも九州などのものは使わないようにしているという。
田辺市や白浜町などの市町では、外来生物を担当する課はなく、県の指導を仰ぎながらその土地を管轄する課が状況に応じて対応している。
県南部では、オオキンケイギクやナルトサワギクのほか、田んぼやため池で見られるアカウキクサの仲間アゾラ・クリスタータやキクの仲間のミズヒマワリなどの特定外来生物も増えている。
外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律) 特定外来生物による生態系、人の生命、身体、農林水産業への被害を防止するため、2005年6月1日に施行した。特定外来生物に指定された生物について、原則として輸入や譲渡、飼育、遺棄などを禁じている。違反すると、法人で最高1億円の罰金、個人だと3年以下の懲役か300万円以下の罰金となる。