■生態系や水質悪化懸念
琵琶湖沿岸の水生植物群落で、外来植物の繁茂が進行していることが5日、京都大学の田中周平准教授(環境生態工学)らのグループの調査で分かった。琵琶湖の外来種問題では、ブラックバスなど魚類にばかり注目が集まっているが、「植物の外来化」で、魚や鳥などの成育に与える影響や、水質悪化などが懸念されている。
滋賀県などの調査ではこれまで、航空写真でおおざっぱな植生状況を確認するしかなく、外来植物の具体的な繁茂状況は明らかでなかった。そこで、田中准教授らは2年前、GPS(衛星利用測位システム)装置を駆使した新しい植物調査手法を開発。調査員が現地に入り、確認した植物の植生を3〜5メートルごとに装置に記録することで、詳しい植生分布図を描くことが可能になった。
同グループは昨年9〜12月、琵琶湖南湖東岸や近江八幡市、高島市針江の計41群落(約44万3千平方メートル)を選び、携帯型GPS装置で植生状況を調査した。
このうち県が昨年公表した琵琶湖南湖東岸域の新浜地区(約1万572平方メートル)では、おおまかにヨシとヤナギ類の在来種の植生状況しか確認できていなかったが、田中准教授らの調査では、外来種が25・9%を占めることが判明した。
内訳は石川県の河北潟などで深刻な問題となっている「チクゴスズメノヒエ」が約3602平方メートルを占めて最上位。続いて、「セイタカアワダチソウ」が約1171平方メートル、外来生物法で特定外来生物に指定されている「ミズヒマワリ」が32平方メートルなど、在来種を押しのける形で繁茂している状況が確認された。
その他の群落では、7群落で南アメリカ原産の外来種「ホテイアオイ」を確認。最も多い赤野井地区では23・6%を占めるまでの繁茂を確認した。ホテイアオイは特に、冬になると枯れて腐敗するため、水質への影響が問題となっている。
同グループは来年末までに、琵琶湖全域に調査を広げ、外来種侵食が一目で分かる詳しい植生分布図の完成を目指す。田中准教授は「外来植物の急速な拡大は、琵琶湖の貴重な生態系に不可逆的な影響を与えかねない。取り返しのつかない状況になる前に対策が望まれる」と警鐘を鳴らしている。
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【用語解説】琵琶湖の在来種
琵琶湖には約1000種類の動植物がおり、琵琶湖にしか生息しない固有種は63種類確認されている。植物では、在来の大規模なヨシ群落の存在が特徴。フナがヨシの上に卵を産むなど、魚や鳥の成育空間として重要な役割を果たしている。在来種ではほかに、マコモ、ヒメガマ、ウキヤガラなどが群生。滋賀県では昭和62年からヨシの植栽を始めるなど、在来種の保全を図っている。
Posted by jun at 2009年10月06日 18:52 in 外来生物問題