外来魚の食害などで壊滅状態にある琵琶湖のぼてじゃこ(タナゴ)を取り戻そうと、市民団体が人工的に増やしたタナゴの放流を計画している。漁業対象以外の魚の計画的な放流は琵琶湖ではほとんど前例がない。課題も多いが、市民の手で湖のにぎわいを戻そうと意気込んでいる。
市民や研究者でつくる「ぼてじゃこトラスト」が昨年から進めている。これまでに、琵琶湖でほぼ絶滅状態にあるイチモンジタナゴの人工増殖に着手。琵琶湖博物館(草津市)から親魚を借り受け、人工の池で増殖に成功した。次のステップとして自然界への放流を目指すことにした。
現在、タナゴを増やすための池を新たに掘ったり、協力者から借り受けるなどして、増殖拠点を整備しつつある。
しかし、安易な放流はえさや住みかの競合、交配による遺伝子のかく乱で、既存のタナゴを脅かす恐れがあるとされる。日本魚類学会は、善意といえども放流は極めて慎重にすべきとしてガイドラインを設けており、同トラストはこれに沿って放流を検討する。
放流の是非を市民ぐるみで考えようと、2月にはシンポジウムを開いた。会場の50人に「琵琶湖に戻ってきてほしい魚」を尋ねたところ、モロコ、フナを引き離してタナゴが1位に。放流はほぼ全員が支持したが、「復元より前に保全のあり方を話し合うべき」「生態系への影響が心配」などの意見もあった。
遠藤真樹顧問は「かつてたくさんいた魚たちの復活に向けて道筋をつけたい。最終的に琵琶湖に放したいが、まずはため池などで数を増やしていく」と話し、増殖に協力してもらえそうな池を探している。