県は新年度、水田と水路を魚が行き来できる人工の小型魚道を県内の田んぼに設置するモデル事業を始める。2010年に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け、川魚の「ゆりかご」として産卵や稚魚の成育場所だった水田の復活を目指す。
県によると、かつて田んぼと水路が直接つながっていたころ、フナやドジョウ、タモロコなど水田地帯にすむ魚の多くは双方を行き来し、水田が産卵や稚魚の成育場として生態系の重要な役割を果たしていた。しかし、現在はほとんどの水田と水路の間に落差が設けられ、行き来ができなくなっているという。
そこで、県農業総合試験場は07年に田んぼと水路をつなぐ小型魚道(2−5メートル)を開発。半円形にした樹脂製の筒(口径25センチ)に、流量を調節するための板を一定の間隔ではめ込んだ簡単な構造で、大規模な工事をせずに設置できる。
07年度に安城市と豊橋市、長久手町の田んぼに試験的に設置したところ、魚道を通る多くの魚を確認。田んぼには小魚を求めて多くのサギも飛来し、大きな効果があったという。
新年度は設置場所を15カ所に拡大。公募したNPOや学校、市民団体などに設置と管理を委託し、遡上(そじょう)する魚や水田の生きものの観察会も開いてもらう。
県農地計画課は「効果を見ながら、設置個所を広げていきたい」と話している。(山本真嗣)