紀南沿岸の平均海水温が32年前に比べ、2度以上上昇していることが県水産試験場(串本町)の調査で分かった。同試験場は、水温上昇が漁業に与える影響を調べるため、漁師への聞き取りなどを始めた。担当職員は「地球温暖化によるものかはいまのところ判断できない。近年、漁獲される魚種に変化が表れてきており、早急な対応が必要」と話している。
試験場の漁業調査船「きのくに」が1975〜2007年に瀬戸崎(白浜町)―潮岬(串本町)間の12カ所で定点観測したデータを基に、平均値を割り出した。
気温などの影響を受けにくい水深50メートル付近の平均海水温でみると、75年に19・0度だったものが07年に21・1度となり、2・1度も上昇した。海面付近でも同様の観測結果が出ており、75年より1・8度高くなっている。
漁獲への影響は既に出ており、紀南沿岸で中型巻き網漁の主力であるマサバが減り、マサバより温かい海水を好むゴマサバの漁獲量が増えている。ゴマサバの値段はマサバより安く、漁師にとっては大きな問題となっている。
県内で捕獲される魚類にも変化が起きており、琉球列島以南に生息する熱帯魚が頻繁に交じるようになっている。その数は年々増加傾向にあり、サイズも大きくなっている。04年にはオニアジ(アジ科)の成魚が田辺湾に大量出現し、06年にはバラクーダとして有名なオニカマスの成魚が白浜町の定置網に入った。07年にはGTと呼ばれ南方の釣りで人気のあるロウニンアジの成魚2匹がすさみ町の堤防から釣り上げられた。
同試験場は「将来、海水温がどの程度まで上昇するのか分からない。その時、即座に対応するため、聞き取りや熱帯魚捕獲の情報を集めていきたい。熱帯魚を捕獲した場合はぜひ連絡してほしい」と呼び掛けている。