国が進める霞ケ浦導水事業をめぐり、水戸市内の那珂川取水口建設が地元漁協の反対で事実上、中断している問題を受けて、国土交通省は23日までに、河川内の工事を棚上げすることを決めた。すでに施工計画を一部見直し、陸側施設を先行して工事を進めている。取水口周辺を漁場とする那珂川漁協が河川内に設置している漁具の強制撤去は行わない方針。河川に立ち入らないでも施工可能な陸側部分の送水管建設などを優先させる。
国交省霞ケ浦導水工事事務所などは約1カ月前から、工事を受注した業者と計画の見直しについて協議。陸側部分の工事を進めるため22日、川岸に土留めの鋼板を打ち込む作業を開始した。同事務所によると、当初の計画では、4月中に河川内に鋼板を立てて水をせき止め、工事を進める予定だった。
これに対し、漁協側は3月、「漁業権侵害」を理由に、建設差し止めを求める仮処分命令申立書を水戸地裁に提出。4月には、現地で抗議活動を行い、測量を行おうとした施工業者が作業を中断している。国交省は、漁具の移動を再三求めたが漁協側は一切応じず、「平成22年3月の完成予定に間に合わない」との懸念が強まっていた。
同事務所は「当初、取水口の建設予定地に漁具はなく、漁も行われていないという認識だった」とした上で、「河川内の施工についても、数カ月の工期が必要。漁協のご理解を得る努力を続け、できるところからやっていく方針」としている。
一方、施工業者の現場責任者は「取水口建設が係争中ということもあり、先行きは不透明。工期までに必ず完成させたいが、最終的には河川内に立ち入る工事が不可欠だ」と複雑な表情を見せる。
漁協側は国交省に対し、「工事を進める姿勢があまりにも一方的。事業推進を前提とした話し合いには、一切応じられない」と不信感を強調。国が設置した導水事業の検討委員会に対抗して、独自の外部委員会を設置するなど、対立は混迷の度合いを深めている。
Posted by jun at 2008年05月25日 12:33 in 内水面行政関連